研究課題/領域番号 |
24700333
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
矢野 真人 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20445414)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | RNA結合蛋白質 / 分子神経生物学 / HITS-CLIP |
研究概要 |
次世代シークエンサーを用いたHITS-CLIP法により、胎生期大脳皮質におけるMusashi1(Msi1)-RNA相互作用のゲノムマッピングを行い、Msi1のRNA制御メカニズムおよび生体内における役割に迫ることを目的とした。Msi1-RNA相互作用解析のため、Msi1を認識する抗体を用いMsi1欠損マウスをネガティブコントロールとしてHITS-CLIPを行った。Msi1と結合するRNAのみをウエスタンブロットにより転写されたメンブレンより精製し、精度の高いRNA結合領域の同定を行い、精製した約50塩基長のRNAを逆転写酵素により、cDNAライブラリーを作成し、次世代シークエンサーにより解読した。バイオインフォマティクス解析により、Msi1のゲノム上の結合部位をアノテーションした結果、ゲノム上の、3’UTRエクソン、Codingエクソン、イントロンやintergenic領域など様々な部位に結合のピークがみられた。現在まで、信頼度の高いMsi1-RNAゲノムマッピング部位として2203カ所を同定している。Msi1-RNAゲノムマッピングに加え、Msi1欠損マウスのトランスクリプトーム解析を合わせて行い、Msi1の標的下流遺伝子の解析を進めた。これまでの生化学的解析により、Msiの機能として翻訳制御が考えられてきているが、翻訳制御を裏づける多くのmRNA群において、エクソン、3’UTR部位にMsi1結合部位を持つものが得られた。さらに、これまで未知であった非コードRNAやといった蛋白質をコードしていない領域におけるMsi1の機能についてもMsi1-RNAゲノムマップによって得られてきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、明らかにされていなかったMsi1のゲノムマップの完成に近づきつつある。またゲノムマップにより新規のMsi1の機能を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シークエンサーを用いたHITS-CLIP法により、胎生期大脳皮質におけるMusashi1-RNA相互作用のゲノムマッピングのデータセットを用いた詳細な生化学的解析、バイオインフォマティクス解析を行い、Muasashi1のRNA制御メカニズムの包括的解析および生体内神経幹細胞におけるMusashi1を介したRNA動態の役割を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
シークエンサーを用いた解析がすでに進んでいたため、当初24年度に予定していた未使用額が生じたが、25年度に行うマウスの解析を含め必要なため下記の研究計画遂行のため実施する。膨大なデータセットのバイオインフォマティクス解析、生化学的解析による検証、マウスを用いた解析などの研究費の消耗品に費やす。主に生化学的解析試薬、特にマウスの飼育費等が他の資金では足りず、主にマウスの解析に使う予定である。
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