研究課題/領域番号 |
24700334
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
河瀬 聡 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80468496)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 神経幹細胞 / 転写制御 / Msi1 / 国際情報交換 / USA |
研究概要 |
1) Msi1第6イントロンエンハンサー(D5E2)レポーター遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの発現解析を行ったところ、レポーター遺伝子は胎生脳や成体脳のSVZやSGZにおいてMsi1を発現する神経幹細胞(NSC)において高く発現した。従って、D5E2はIn VivoにおいてもNSCにおいてMsi1を制御する領域であることが明らかとなった(研究計画7)。 2) Msi1を制御する転写因子を同定するため、D5E2のコアエンハンサー領域(D5E2 178)に存在する各転写因子結合サイトに変異を導入した。その結果SoxとRfx結合サイトに変異を入れた時のみ転写活性が減弱した。D5E2はRfxの発現により顕著な転写活性が見られ、ChIP-sequenceにより、Rfx1がD5E2領域に結合するが報告されていたことから、RfxがMsi1を制御する転写因子であると考えた。またSox1, Sox2等もこの領域に結合することから、Rfxと協調作用する可能性があり、RfxがNSCを維持するコアな転写因子ネットワークの新規因子である可能性を持つ(研究計画1, 3, 5)。 3) 7つのサブタイプが存在するRfxの多くは、脳における詳細な発現解析がなされていない。NSCに発現するRfxを同定するため、D5E2レポーター陽性NSCをFACSで分離し発現解析をしたところ、Rfx4が特異的に発現していた。組織レベルでの解析を行うため、現在Rfx4抗体を作製中である(研究計画6)。 4) Rfx4やMsi1をIn Utero Electroporation法によりcortexに発現させた結果、両者とも顕著にニューロンへの分化を抑制したため、機能的にNSCを維持することを示唆している(研究計画8)。 Rfxは繊毛形成に重要であるが、Msi1-Notch経路を制御する新規NSC維持分子として期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標はMsi1を制御する転写因子の同定であった。これを達成するために、2年間の研究計画に示した1)-11)の内容の内、2)と9)-11)を除くものについて概ね達成した。その結果、研究計画に予想していた転写因子とは異なり、Rfx4が絞り込まれ、証明実験もいくつかクリアしている。しかしながら、2)に示した転写因子のノックアウト実験について、良好なshRNA、siRNAの確保に困難しており終了していない。この実験はRfxとMsi1の関係を示す最重要な実験の一つであり、次年度の機能解析においても必要となるため、必ず早期にクリアしなくてはならない。次年度に計画していたIn Utero ElectroporationによるNSCにおけるRfxの機能解析はすでに着手しており、良好な結果を得ている。また扱っている分子の発現量、発現部位も既知のものとなりつつあるため、実験手技は今後の実験において概ねクリアしたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1) 実験計画2)におけるノックダウン実験により、RfxによるMsi1の制御について明らかにする。また、In Utero Electroporaion法によりRfxをノックダウンし、Rfxの機能解析を行う(研究計画8)。これと平行してRfx4ノックアウトマウスの凍結胚をPeterson Lab.より譲渡してもらい、Msi1の発現解析と、Rfx4のNSC維持機能の解析をIn Vivo, In Vitro(ニューロスフェア培養)において行う予定である。すなわち、研究計画9, 10におけるRfx4発現抑制下におけるMsi1によるレスキュー実験を進行する。 2) さらにこの際、Notch1, Numb, Hes1の発現解析を行い、Notchシグナルとの関与について明らかにする。また、当研究室が保有するMsi1ノックアウトマウスにRfx4を発現させることにより、Rfx4によるNSC維持能力がMsi1依存的であるか検討を行う。 3) Rfx4がD5E2に結合することは直接的に示されていないため、ChIP-PCRによりこれを確認する(研究計画5)。 以上によりMsi1の転写制御因子の同定と、NSCにおけるRfx4の機能解析として論文報告をする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に動物購入費用と生化学的実験費用に使用される予定である。 また、Rfx4抗体作製費用に使用される。
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