研究課題/領域番号 |
24700357
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
本田 岳夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30365225)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Reelin / Dab1 / reeler / yotari / 樹状突起形成 |
研究実績の概要 |
哺乳類の大脳新皮質は、異なる種類の神経細胞種から構成される6層の細胞層からなる。これは、発生期に神経細胞が脳室帯から移動し、適切な位置に配置されることにより達成される。大脳皮質層形成時に起る神経細胞移動は、脳の最も表層に位置するカハール・レチウス細胞から分泌される巨大糖タンパク質リーリンによって制御されていることが知られている。リーリンをコードする遺伝子reelinに変異を持つリーラーマウスでは、大脳新皮質の層形成等に重篤な異常を生じる為、大脳新皮質発生過程の分子メカニズムを探索する重要な分子として多くの研究がなされて来た。分泌されたリーリンは移動神経細胞に発現するApoER2やVLDLRによって受容され、細胞内のDab1にシグナルが伝えられることで神経細胞の移動を制御している。我々は、(1)dab1のノックダウンにより神経細胞の樹状突起が低形成になること、また、(2)Dab1が核細胞質間シャトルタンパク質であることを明らかにした為、Reelin-Dab1シグナルは樹状突起形成に関与する遺伝子の発現制御により、樹状突起形成及びガイダンスを制御しているという仮説を考えた。そこで、dab1をノックダウンした神経細胞に、候補分子を導入したところ、ある候補分子が樹状突起の低形成を部分的に回復出来ることを明らかにした。どのような作用機序で樹状突起形成の回復が起ったか明らかにする為、様々な変異体を用いて試したところ、特定のリガンドに結合出来ない変異体では樹状突起形成が回復出来ないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
候補となっている分子がdab1のノックダウンによる樹状突起の低形成を回復させる仕組について、候補分子の下流分子としてこれまでに報告されている分子に着目して解析している。しかしながら、いまだその分子メカニズムが明らかではない為。
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今後の研究の推進方策 |
dab1のノックダウンによる、樹状突起形成異常を候補分子が回復させるメカニズムを明らかにする。dab1ノックダウンを行なった細胞と、dab1ノックダウンと同時に候補分子を発現させた細胞から、候補分子の下流分子として知られている分子についてタンパク質量やリン酸化量等の変化があるか検討する。また、神経細胞をReelin刺激した後、候補分子の翻訳後修飾等に変化があるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Reelinシグナルの阻害による樹状突起形成異常をレスキュー出来る分子がどの様な仕組みで働いているのかを明らかにする為、さらに下流で働く可能性のある様々な分子を用いて解析を進めているが、未だその分子メカニズムが明らかではない。その為、下流で働く候補となる分子の範囲をさらに拡大し解析を進めている為、研究計画の遂行に大幅な遅延を生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
下流で働く候補分子の同定の為に、分子生物学実験用試薬、生化学実験用試薬、実験動物、英語論文投稿・別刷り印刷、プラスチック器具等消耗品等に研究費の使用を予定している。
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