研究課題
生物の発生において空間的に離れた場所にある増殖シグナルと幹細胞がどのようにコミュニケーションをとり制御されているのか?そのメカニズムは未だによく解明されていない。本研究では、脳の形成において神経細胞が発現する増殖因子FGF18が遠くはなれた神経幹細胞を制御していること発見し、具体的にどのように脳の形成に関わっているのかさらなる解析を行った。平成25年度は、1、FGF18コンディショナルノックアウトマウスを用いた生後の表現型の解析。2、FGF18の下流のシグナルによって制御される遺伝子の解析を行った。1、FGF18遺伝子の欠損による生後脳への影響FGF18遺伝子の単純な欠損は、生後すぐに死んでしまう為に、生後に脳がどのような異常を生じるかは解析が困難である。そのため、FGF18コンディショナルノックアウトマウスを作成し、生後の脳の形成にどのような異常があるか解析を行った。FGF18遺伝子は、Cre組み替え酵素の発現により欠損するようになっており、将来新皮質となる領域の神経幹細胞に特異的に発現するEmx1-Creのラインを用いて解析を行った。その結果、後期に産生される2/3層の神経層だけが特異的に減少している事が明らかとなった。2、FGF18の下流のシグナルによって制御される遺伝子の解析。下流の因子の同定を解明するために、FGF18ノックアウトマウスの胎生14.5日目の脳よりtotalRNAを回収して、次世代シークエンサーを用いたRNAシークエンス解析を行った。現在、その情報の解析を行っている。今後さらなる解析により、FGF18シグナルの下流で神経幹細胞の維持に関与する遺伝子を同定する予定である。
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