研究課題
これまで我々は、メタロプロテアーゼnardilysin (NRDc)が、HB-EGF等の膜貫通型タンパク質に対する、細胞外ドメインシェディング活性化因子であることを報告してきた。アルツハイマー病の原因の一つとして、アミロイド前駆タンパク(APP)のβ・γ切断の結果できたアミロイドβ(Aβ)の蓄積による神経細胞死が知られている。NRDcが、細胞実験系において、Aβ産生を正に制御するβセクレターゼ(BACE1)と、負に制御するαセクレターゼ(ADAM10/17)の双方と、それぞれ複合体を形成し各々のプロテアーゼ活性の調節に関わることから、NRDcがアルツハイマー病においても重要な役割を担っている可能性が示唆された。本研究では1)アルツハイマー病におけるNRDcの病態生理学的意義の解明(疾患モデルマウスによる検討)、2) NRDcによるAPP切断酵素活性制御の分子機構解明を目的とした。1)NRDc-Tgとアルツハイマー病モデルマウス(APP-Tg)とを交配し、得られたNRDc/APP-TgマウスとAPP-Tgマウス間におけるAβの蓄積を、組織学的及びELISAにて検討したところ、NRDc/APP-Tgマウスで有意にAβ量が減少していた。2)NRDcがαセクレターゼの一つであるADAM10と複合体を形成し、APPのα切断を増強することを、細胞実験系及びマウス脳で明らかにした。
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Neurobiology of Aging
巻: 35 ページ: 213,222
10.1016/j.neurobiolaging.2013.07.014.
http://kyoto-u-cardio.jp/kisokenkyu/sentan-bunshi/