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2012 年度 実施状況報告書

ERーミトコンドリア膜間領域(MAM)に蓄積する変異SOD1のALS病態への関与

研究課題

研究課題/領域番号 24700391
研究機関同志社大学

研究代表者

渡辺 祥司  同志社大学, 高等研究教育機構, 助教 (80462745)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードMAM / 変異SOD1 / Sigma-1レセプター / ALS
研究概要

本年度は、ミトコンドリア-ERの膜間領域(MAM)に蓄積する変異SOD1の可視化を大きな目標として解析を行なってきた。
まず、主にMAMに局在すると知られているSigma-1 receptor (Sig-1R)のC末端に、イシサンゴ由来の緑色蛍光タンパク質Azami-green(mAG)を付加させた発現ベクターと培養細胞株(HEK293)を用いて、安定発現株の取得を試み、発現量の異なる二種の細胞株を単離した。これらの株で発現しているSig-1R-mAGが、MAMに正しく局在していることを、ミトコンドリア局在化シグナルを持つ赤色蛍光タンパク質(DsRed2)を用いて確認した。
つぎに、野生型およびALS患者由来の変異SOD1のC末端に、青色蛍光タンパク質(TagBFP2)を融合させた発現ベクターを用いて、Sig-1R安定発現株で一過的に発現させた。タンパク質レベルでの解析では、TagBFP2を付加させた変異SOD1が特異的にMAMに蓄積していることは観察できたが、それを可視化することは出来なかった。一過性による必要以上の過剰発現が原因と考えられ、発現誘導型の実験系に変更する必要があると考えられる。すでに発現誘導型の実験系の構築は開始しており、変異SOD1の凝集体形成等を指標にして、ALS病態を再現するような良い系とすることを目標としている。
Sig-1Rを扱って実験を進めている過程で、膜電位依存性カリウムチャネルKv2.1が特異的にSig-1Rと相互作用していることを見出した。Sig-1Rは幾つかのイオンチャネルとの相互作用することが知られているが、Kv2.1との相互作用は新規の知見であり、新たに習得した電気生理学的解析により、生理学的にも解析を進めて行きたいと考えている。また、変異SOD1との関係およびALS病態への関与も併せて解析して行きたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の概要に記述したように、変異SOD1がMAMに特異的に蓄積して行く様子を可視化することを、本年度の大きな目標として定めて研究を進めてきたが、実現には至らなかった。しかし、改善すべき所は明らかにし、当初の実験計画を更に練り直した上で、新たな実験系を構築して研究を進めている。現在までに、大きな失敗や行き詰まりはなく、変異SOD1のMAMへの蓄積を可視化するという目標達成することを実現するべく、実験は順調に進んでいると考えている。
それに加えて、実験を進めていく過程で、Sig-1RとKv2.1が相互作用する事を見出せた。この相互作用は新規であり、その分子機構や生理的意義は全く不明である。今後、生化学的な解析に加え、新たに習得した電気生理学的手法も取り入れ、解析を進めていきたいと考えている。また、変異SOD1よるALS病態への関与も明らかにできるよう挑戦したいと考えている。
以上のことから、本申請課題における現在までの達成度は、概ね順調に進展していると考えおり、今後の研究に繋げたい。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策として、まず未だ達成できていない“変異SOD1が特異的にMAMに蓄積していく様子の可視化”が実現できるように実験を進めていきたいと考えている。可視化の実現だけに拘らず、申請書に記述した次年度の研究も進めていきたいと考えている。具体的な目標として、“ALSの進行に伴った変異SOD1のMAMへの蓄積”をモデルマウスのサンプルを用いて解析したいと考えている。また、種々のストレスが誘導されているのか否かを並行して調べることにより、ALSの病態とどのように関連を考察したいと考えている。 また、“MAM画分で変異SOD1と相互作用する分子の探索”に関して、ビオチンを用いた新規実験法を確立している。この実験系をモデルマウスのサンプルや初代培養運動神経細胞に適用し、運動ニューロンに対して毒性を示す新規因子の探索に挑戦したいと考えている。
さらに、新たに見出したSig-1RとKv2.1との相互作用の生理的意義を生化学的・電気生理学的解析により明らかにしたいと考えている。その上で、変異SOD1により、その生理的意義がどのように変化するのかを調べたいと考えている。
以上の実験を通じて、ALSの病態にどのように関与しているのかを多角的に考察して、論文として成果報告を行いたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は、実験の遂行に必要な消耗品(抗体、分子生物学的実験用試薬、および培地など)を中心として使用する予定である。また、実験結果がかなり蓄積してきたので、それを解析するPCまたはソフトウェアにも充当したいと考えている。さらに、国内外の学会に少なくとも一回は発表したいと考えている。研究内容が競合している情報を得た場合は、発表を避ける場合があると考えられるが、その場合は情報収集として参加する予定である。
二年間の本申請課題で得られた成果を論文として報告する際にかかる費用も次年度の研究費で充当する予定である。
以上のように、次年度の研究費は、今年度と同様、本申請課題が更に発展するよう、熟孝して使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 備考 (2件)

  • [備考] 同志社大学研究者データベース

    • URL

      https://kenkyudb.doshisha.ac.jp/rd/html/japanese/researchersHtml/112206/112206_Researcher.html

  • [備考] 同志社大学脳科学研究科チャネル病態生理部門

    • URL

      http://brainscience.doshisha.ac.jp/introduction/pat/cp.html

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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