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2013 年度 実施状況報告書

PKGによる小胞エンドサイトーシス制御機構とその生後発達変化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24700406
研究機関沖縄科学技術大学院大学

研究代表者

江口 工学  沖縄科学技術大学院大学, 細胞分子シナプス機能ユニット, 研究員 (80470300)

キーワードシナプス / 小胞エンドサイトーシス / RhoA / PKG / 膜容量測定法 / パッチクランプ法
研究概要

本年度の研究では、電気生理学的手法および生化学的手法を組み合わせ、聴覚系巨大シナプス calyx of HeldにおけるPKG依存性小胞エンドサイトーシスの分子機構を調べた。前年度の結果より、Calyx of Heldシナプスにおける小胞エンドサイトーシスのがシナプス前末端内PKGによって加速されていること、PKGはシナプス後細胞からの逆行性シグナルによって活性化していること、PKGの下流ではPIP2が働いており、PKGがシナプス前末端内のPIP2濃度を制御することで小胞エンドサイトーシスを加速していることが分かった。またこのPKGによるエンドサイトーシスの加速が、高頻度・高信頼性シナプス伝達に大きく寄与していることが明らかとなった。本年度は、このPKGによる小胞エンドサイトーシスの加速が、どのような分子機構によって起こっているのかを明らかにした。本研究ではPKGの下流で働く分子の候補として、単量体G蛋白質RhoAとRhoAによって活性化する蛋白キナーゼ(Rhoキナーゼ)に着目し、これら分子の抑制剤および活性剤を用い、パッチクランプ法の応用である膜容量測定法によって小胞エンドサイトーシスの速度を比較した。その結果、RhoA/RhoキナーゼがPKGによって活性化し、小胞エンドサイトーシスを加速していることが明らかとなった。また生化学的手法(ELISA法、質量分析法)により、RhoA/Rhoキナーゼがシナプス中のPIP2量を制御するかを調べたところ、RhoA/Rhoキナーゼの活性化がPIP2量を増大させることが明らかとなった。これらの結果から、PKGによる小胞エンドサイトーシスの加速がRhoA/Rhoキナーゼを介して行われており、またRhoA/Rhoキナーゼがシナプス前末端内PIP2量を制御することで小胞エンドサイトーシスを加速していることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請書にて計画していた今年度の目標を達成しており、論文にまとめることができた。また次年度の計画にもすでに取りかかっており、予備的な結果をすでに得ていることから。

今後の研究の推進方策

PKGやRhoA/Rhoキナーゼによる小胞エンドサイトーシスの加速はPIP2量の制御によって行われており、PIP2の代謝が小胞エンドサイトーシス速度を決定していると考えられる。このことから、次の段階としてシナプス前末端内PIP2の可視化を行い、膜容量測定法と組み合わせることで、小胞エンドサイトーシス中のPIP2濃度変化を観察する。

次年度の研究費の使用計画

今年度は研究推進のため消耗品の購入額が前年度に比べて多くなり、また海外での学会参加のため本研究費を使用し、当初の使用予定額を超過した。しかしながら前年度未使用額が多かったため、次年度使用額が生じた。
次年度は研究推進のための消耗品(各種阻害剤や抗体等)の購入に当てるほか、国内・海外での学会発表に本研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 高頻度シナプス伝達を支えるシナプス小胞エンドサイトーシス制御機構2014

    • 著者名/発表者名
      江口工学, 高橋智幸
    • 雑誌名

      生物物理

      巻: 54(1) ページ: 015-018

    • DOI

      10.2142/biophys.54.015

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rho-Kinase Accelerates Synaptic Vesicle Endocytosis by Linking Cyclic GMP-Dependent Protein Kinase Activity to Phosphatidylinositol-4,5-Bisphosphate Synthesis2013

    • 著者名/発表者名
      Zacharie Taoufiq, Kohgaku Eguchi, Tomoyuki Takahashi
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience

      巻: 33(29) ページ: 12099-12104

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.0730-13.2013

    • 査読あり
  • [学会発表] The acceleration mechanisms of synaptic endocytosis by Rho-associated protein kinase2013

    • 著者名/発表者名
      Kohgaku Eguchi
    • 学会等名
      2013 JSPS Core-to-Core Program Symposium "Mechanisms of Synaptic Transmission"
    • 発表場所
      Kyotanabe, Kyoto, Japan
    • 年月日
      20131205-20131206
  • [学会発表] A novel physiological function of Rho-kinase in synapse: Homeostasis balance of vesicle exocytosis and endocytosis by modulating phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate2013

    • 著者名/発表者名
      Zacharie Taoufiq, Kohgaku Eguchi, Tomoyuki Takahashi
    • 学会等名
      Neuroscience2013
    • 発表場所
      San Diego, CA, US
    • 年月日
      20131109-20131113
  • [学会発表] RhoA/Rhoキナーゼを介した逆行性シナプス小胞エンドサイトーシス制御機構とその役割2013

    • 著者名/発表者名
      江口工学, 高橋智幸
    • 学会等名
      生理学研究所研究会 "新規シグナル伝達分子とその生理学的可能性"
    • 発表場所
      岡崎, 愛知, 日本
    • 年月日
      20130925-20130926
  • [備考] 脳の情報伝達を調節する新しいメカニズムを発見

    • URL

      https://www.oist.jp/ja/news-center/news/2013/8/29/11856

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公開日: 2015-05-28  

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