研究課題/領域番号 |
24700406
|
研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
江口 工学 沖縄科学技術大学院大学, 細胞分子シナプス機能ユニット, 研究員 (80470300)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | シナプス / 小胞エンドサイトーシス / PKG / RhoA / 膜容量測定法 / パッチクランプ法 |
研究実績の概要 |
本研究は、シナプス伝達におけるシナプス前末端内PKGによるシナプス小胞エンドサイトーシス制御機構の解明とその役割を明らかにすることを目的とする。申請者はこれまでにPKGが生後発達依存的に小胞エンドサイトーシスを加速すること、PKGがシナプス後細胞から放出された一酸化窒素によって逆行的に活性化すること、PKGの下流ではRhoA/Rhoキナーゼが活性化し、前末端内のPIP2を制御することでエンドサイトーシスを加速することを見出した。 本年度はPKGとPIP2とをつなぐ分子経路の詳細を解明することを目的とした。対象蛋白質として、パーキンソン病関連蛋白質でありシナプス前末端内に豊富に存在する小型蛋白質αシヌクレインに着目した。過剰量のαシヌクレインを細胞前末端内に注入することで小胞エンドサイトーシスが遅くなることを発見したが、この遅延作用はPKG阻害剤とは違い、PIP2による救済を受けなかった。このことから、αシヌクレインはPKG-RhoA/Rhoキナーゼ-PIP2を介した小胞エンドサイトーシス制御機構とは別のカスケードによって、エンドサイトーシス速度を制御していると考えられる(論文投稿準備中)。 また、PKGがPIP2を介して小胞エンドサイトーシスを制御していることから、小胞エンドサイトーシスとPIP2動態との関連性について、PIP2の蛍光プローブ蛋白を用いて実験を行った。またこの実験には初代培養calyx of Heldを用いるため、培養calyxのシナプス前末端へのパッチクランプ法の適用が可能であるか調べた。これらの結果、PIP2動態を測定を調べるのに適したプローブの選定が終了し、また培養calyxへのパッチクランプ法が可能であることを確認した(論文投稿中)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PIP2動態の観測に必要な機器のセッティングに時間がかかってしまい、当初の予定ほど進捗しなかった。現在はすでに機器のセッティングやPIP2プローブの選定が終了し、実験に取りかかっている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は昨年度の到達目標である「小胞エンドサイトーシスとシナプス前末端内PIP2動態の同時測定」を完了させることを目標とする。すでにPIP2動態を測定するための条件は揃っていることから、培養calyx of Heldを用いたPIP2動態のモニタリングおよびパッチクランプ法による膜容量測定との同時測定を行う。また、これまでの研究結果を踏まえ、PKG阻害剤やRhoキナーゼ阻害剤などの作用を調べる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
シナプス前末端のFRETイメージング・パッチクランプ同時測定を行う予定だったが、イメージング機器とパッチクランプ用機器の間に機械的なトラブルが生じ、その調整に時間を費やしてしまったため、研究計画に遅れが生じた。それに伴い、研究成果発表を予定していた学会(日本生理学会)への参加を見送ることとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究用消耗品および論文投稿費用、学会(日本神経科学会、日本生理学会)への参加費用に使用予定。
|