研究課題
脳内埋植型半導体イメージセンサによる蛍光脳機能解析技術を用い、複数のイメージセンサを同時駆動して生体脳に適用することで、より広い脳領域で同時に神経活動を計測するためのイメージングシステムを試作した。この試作したイメージングシステムを用いてラット脳内知覚領域および連合野における神経活動を電位感受性色素により可視化することに成功した(Kobayashi et al., 2014)。本手法は、数十の神経細胞を対象とした従来の微小電極を用いた電気生理学的計測より多く、数万の神経細胞を対象として光計測することを可能にする。また従来型の顕微鏡による光計測においては、動物頭部を厳密に固定し平面的に対物レンズによって観察することになるが、本手法を用いれば、埋植したセンサが動物の脳とともに稼働するため動物の行動に起因するノイズは生じず、複数センサの分散運用により多面的な視野が得ることができ、かつセンサはウェアラブルであるために対象動物は自由に行動することができる。本イメージングシステムは離れた脳領域間での差時的な神経活動を計測でき、これまで明らかな有機的な脳領野間連絡に加えて、新たに大規模な生理的な連絡、活動の伝播過程を明らかにするための有効なツールになるだろう。さらに本年度はoptogenetics手法により光感受性を付与した神経系細胞に対して局所光刺激を行い、同時にgeneticalなCa2+イメージングを行うことを可能とする埋植型デバイスを試作した。そして実際にこれを用いて細胞との随意的な光双方向情報伝達に成功した(論文投稿中)。本研究により光で脳と会話するための基礎技術は確立された。都合により本研究継続は難しくなったが、本技術が応用され、将来人工視覚などの知覚補綴技術として利用されることを期待しているし、それは十分可能であると考えている。
すべて 2014
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Biosensors and Bioelectronics
巻: 53 ページ: 31-36
10.1016/j.bios.2013.09.033