研究課題
サルを用いた冷却による機能脱落実験:昨年度に引き続き、左半球の運動野と体性感覚野の手領域を広く覆う冷却デバイスを留置したサルを用いて、覚醒下での運動課題を実施した。課題にはリーチング課題(RT)とDexterity課題(DT)を用いた。右上肢と左上肢それぞれを対象に運動機能を検査したところ、15℃での冷却では、RT、DTのいずれも機能は維持されていた。その後、冷却温度を10℃迄下げた。いずれの課題においてもDurationの延長はみられた。一方、成功率に関しては、DTに置いて有意な低下が見られた。二匹目のサルに対しても同様の実験を実施したところ、ほぼ同様の結果が得られた。脳表層の冷却によって、運動機能が一時的に抑制を受ける温度域は約10℃であることが確認できた。ヒトを対象とした臨床研究:覚醒下種々における脳機能マッピングについては適応症例がなく実施に至らなかった。一方で、てんかん手術時における切除予定部位の冷却研究については引き続き実施できた。マイクロダイアリシスによる神経細胞の代謝産物の解析を実施し、これまでに確認してきた傾向と同じく、冷却は脳保護作用を有していることがわかった。運動機能に関しては、冷却によって影響を受ける。そして、その影響は、脳に悪影響を与えるというよりも脳を保護する方向で働いていることが確認できた。冷却による脳機能マッピングの安全性が高いことが証明できた。
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Epilepsia
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