研究概要 |
前年度作製した雄性生殖細胞特異的な発現を示すGPIアンカータンパク質LY6K(Lymphocyte antigen 6 complex, locus K)ノックアウト(KO)マウスの解析が完了し、本年度は論文発表することができた。 LY6Kと精子細胞において複合体を形成するTEX101のKOマウスは雄性不妊を示し、その原因が精子受精能に必須の膜タンパク質ADAM3が精子から消失するためであることを報告した(PNAS, 2013)。LY6K-KOマウスもTEX101-KOマウスと同じく雄性不妊を示し表現型も一致したことから、ADAM3が責任因子であると予想された。しかし、驚くべきことにLY6K-KO精子にはADAM3が正常に存在していたことが明らかとなった。このことから、ADAM3が精子受精能を司るマスター因子ではなく、その他に存在することがこれまでの結果から示唆された(BOR, 2014)。今後は、真の精子受精能制御因子の探索を目標に、遺伝子改変マウスを駆使してして研究を進めていく計画である。 また、本年度は新規遺伝子改変技術として注目されているCRISPR/Casシステムの導入に成功し(Sci Rep, 2013; Dev Growth Differ, 2014)、これまで以上に遺伝子改変マウスを短期間に効率良く作製することが可能になった。
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