研究課題/領域番号 |
24700445
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
志田原 美保(古本美保) 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20443070)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | PET / 脳機能推定 / 定量解析 |
研究概要 |
本研究では、PET 検査によって得られる様々な脳機能を高精度に定量画像化するために、MRI及び脳アトラスの形態・解剖情報を用いる脳機能の推定法に部分容積効果補正法、ノイズ除去法を併用する画像解析システムの開発を行う。この目的のために、平成24 年度は、数値シミュレーション及び基礎実験のPET・MRI データを利用しノイズに強靭なPET 脳機能の推定法を検討した。 具体的には、15名のMRIから作成したデジタルファントムを用い、ドーパミンD2受容体の機能評価に用いられる[11C]Racloprideの集積をシミュレーションしたデータを対象として、雑音除去と部分容積効果補正を併せ、高精度に脳機能(受容体結合能)を推定する手法の精度を検証した。特に、これまで部分容積効果補正を加算画像にしか適応してこなかったが、今年度は、脳機能推定のために必要な、ダイナミック画像への適応を試みた。 その結果、これまで開発してきた雑音除去と部分容積効果補正方法により、受容体結合能は、何も補正処理しない場合、尾状核で-51.4%誤差であったのが、-38.3%へと改善を示した。この結果から、我々が提案している手法は、脳機能を高精度に推定・評価するために有用であると考えられる。ただし、受容体結合能のばらつきの増加が見られたため、更なる改良が必要と思われた。 この研究成果は、2012年にPhysics in Medicine and Biology(57巻、3107-3122頁)にて論文発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究目標は「数値シミュレーション及び基礎実験のPET・MRI データを利用しノイズに強靭なPET 脳機能の推定法を開発」することであった。 数値シミュレーションで作成された15個のPETファントム・ファントムの元となった15個のMRIデータを利用し、脳機能の推定法に部分容積効果補正法とノイズ除去法を併用する画像解析システムの検討・評価を行った。用いた数値シミュレーションデータは、形態は異なるが、仮定する脳機能値は、同じとしているため、部分容積効果の補正がただしく行われると、どの脳部位でも15個のファントムすべて、同じ脳機能値となるように設定している。PET脳機能推定では、常に画像に含まれる統計ノイズによる推定誤差・ばらつきが問題となるが、このノイズを抑制するために、ノイズ除去処理をおこない、かつ部分容積効果補正を行い、脳機能推定を行い、どの程度の精度であるかを明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、ノイズにより強靭な脳機能推定法にするため、現在のアルゴリズムを改良し、その効果をシミュレーションおよび臨床データで評価し、最終的には、PET 脳機能画像の空間分解能および定量性を向上させる画像解析の最適化およびシステム構築を行う。 このシステム構築について、これまで用いてきた自作のプログラムが使いにくい仕様であったためユーザーが容易に使いこなせないという問題があった。そこで、画像処理・解析プログラムにグラフィカルユーザーインターフェースを加え、画像フォーマットの汎用性の向上、計算の高速化を行うことでシステムの使いやすさを向上させ、無償ソフトウェアとして公開・配布を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。 次年度研究費の使用計画としては、ソフトウェア購入、データバックアップメディア、本研究に必要な専門知識を習得するための書籍の購入が主となる。
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