研究課題
現代社会を生きる上で大きく問題となるストレス反応を神経生理学的なメカニズムに基づき計測し,定量的に評価する研究を行なった.ストレス反応は外的,内的なストレッサーが要因となって生体にもたらされる生理学的な反応である.特に自律神経系に大きな影響を与え,いわゆる不定愁訴として症状が現れることが多い.本研究では,視覚機能とストレス状態,さらには人の心的状態の関係を精査しストレスの評価方法の精度を向上させるのが目的である.特に慢性ストレスの影響が見込まれる(1)自律神経系,(2)サーカディアンリズムに注目して,神経生理学的にストレス反応と1,2との関係を明らかにすることが研究全体の目標である.これまでにストレス反応と自律神経系の関係を,瞳孔反応・循環系などを用いて評価する方法を検討した.特に注目しているメラノプシン網膜神経節細胞(mRGC)に影響を与える光の成分を含む視覚刺激と影響を与えない視覚刺激を用い,それらと生体反応の関係性を分析した.これらを踏まえて,サーカディアンリズムと瞳孔反応,特にmRGCに関係のある光成分による瞳孔反応・循環系がリズムとどのような関係にあるのか実験を行なった.被験者は毎時の瞳孔径計測,心電図(RRI)計測とともに検温を行い,体温変動のリズム,心拍数変動のリズムと瞳孔反応のリズムとの関係を調べた.その結果,mRGCに影響を与える帯域の光刺激とそうでない光刺激による瞳孔反応から検出されたリズムには差異があり,前者はRRIの変動リズムと相関があった.また後者と体温リズムとの同期性も確認された.これらの結果より,本研究では自律神経系の制御によって生み出される心拍変動や体温変動など,ヒトの活動基盤を反映するパラメータと同期してする変化する瞳孔反応成分を,光刺激の種類を調整することで見出すことができた.
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) 備考 (1件)
Advanced Biomedical Engineering
巻: 4 ページ: 80-85
http://doi.org/10.14326/abe.4.80
http://npbme.eng.niigata-u.ac.jp/