大腸がんはがん死因の上位に位置しており,日本においても,近年,男女ともに大腸がんの増加が目立っている.このことから,大腸がんの完治を目指すため,その早期発見が求められている.脂質は,多種多様な構造を持ち,生体膜の構成成分であると同時に,一部の脂質分子においては生理活性シグナル分子として重要な働きを担っている.本研究では,液体クロマトグラフィー三連四重極型質量分析計による網羅的脂質分析手法を確立した.さらに,腸炎の発症,腸炎から大腸がんへの進展までの一連の疾患の進行に伴う脂質分子種の変動をマウスモデル,および大腸がん患者の臨床検体を用いて評価し,大腸がんの早期バイオマーカ―候補を見出した.
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