研究課題
脱細胞化処理方法とその後の血管内腔構造破壊モデルとの比較検討を行った。本年度は主として組織構造の解析を行った。残存組織内コラーゲンの定量、及び表面構造の走査型電子顕微鏡下での微細構造の解析内容は、界面活性剤処理で処理した組織のコラーゲン量は大幅に減少していたが、内腔基底膜、内弾性板、コラーゲン繊維の配向に乱れはあるが維持がされていることが確認された。一方、50℃で熱変性を加えた組織表面を解析した結果、表面構造に大きな変化は見られなかった。次年度に細胞を用いての表面構造の解析実験を行い、細胞接着への影響評価も含めて、この条件を脱細胞化処理のプロトコールへ反映させるようにし、さらなる高血栓性や再内皮化を促す脱細胞化小口径血管の作製への知見とした。細胞接着が進行していくこの再生メカニズム解明のため、各処理血管内腔に細胞播種および血液を滴下し、所定時間後に血栓形成を評価することも行う。さらに、血液滴下後の血管内腔表面を電子顕微鏡観察し、血小板接着などの微細評価を行い、人工血管への知見となるように研究を進めていく。動物実験モデルについては、ラット頸動脈に作成した血管を移植するモデル御構築を行った。その結果、吻合による移植は大きさのハードルにより困難である事が判明したが、カフを用いた移植方法は可能であり、本研究で得られた移植実験の方法として妥当であると考えられた。それぞれの処理に作成された血管の移植モデルを作製し、in vivoにおける構造の影響を評価していく。
2: おおむね順調に進展している
これまで行ってきた界面活性剤での種々の脱細胞化組織を用いて、機能解析として、組織学的および構造表面の解析を行うことができた。加えて、細胞を用いての表面解析も着手でき、大まかな予備検討については推進できた。動物を用いた解析モデルとして、ラットでの実験方法も確立することができた。
今年度の計画として、脱細胞化した血管の解析を主に研究を推進した。脱細胞化された組織の表面解析はおおむね順調に進んでおり、設定していた目標については問題なくクリアすることができた。材料と細胞における接触評価については、病理学的に評価は行えているが細胞表面の状況および細胞の増殖への影響等に関しては、最終年度に持ち越して検討を行い、総合的に抗血栓性に関しての要素を解析していく予定である。動物実験に関しては、モデルとなる動物の選定に時間を要したが、ラットを用いた評価系で抗凝固性に関しては解析可能であると考えている。再組織化に関しては、次年度の再組織化を観察可能にできる動物実験モデルの作製を行う。本来は大動物を用いた実験を行うが、大動物実験は実施困難が予想されるので、小動物を用いたモデルの作製を行い、再組織化の過程を解析できるように検討を行う。
当該年度に購入した動物実験時に使用するディスポーサブル品の補充を予定していたが、現時点では補充購入の必要はなく、該当金額が生じた。次年度に必要な消耗品の購入費として充て、研究を推進していきたいと考えている。
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Tissue Engineering Part C
巻: Volume 20, Number 9 ページ: 1-7
10.1089/ten.tec.2013.0654