研究課題
昨年度に引き続き、ファントム素材となりうる試料の複素比誘電率計測を行ってデータの蓄積を行った。人体表皮の形状をある程度再現することを念頭に、柔らかいゴムなどの素材に対するデータ蓄積を中心として進め、また素材の組み合わせについても検討を行った。こうして蓄積したファントム素材に関するデータを基準として、人体表皮の複素比誘電率を再現するファントムを作成した。これまでの研究で、人体表皮は水分を多く含み、特に研究で使用しているFバンド、90GHzから140GHz付近の電磁波に対しては表皮に存在する水分が大きな影響を与えることがわかってきた。そのため、ファントム作成に関して水分を吸収できるような素材を用い、含水量をある程度コントロールできるようにした。これにより、水分が人体表皮の複素比誘電率に与える影響を見積もることができるようになり、外的要因との関連性を調べることが可能になった。同時に、複素比誘電率の計測技術に関する検討を進めた。測定範囲を数ミリ四方程度まで絞っても計測が可能となる測定系を昨年度開発したが、これにさらに改良を加え、人体のような柔らかく不定形の素材に対する計測技術として、プリズムを用いた測定法を開発した。この測定系では、試料をアクリルで作成したプリズムに密着させ、これに電磁波を入射し、反射波から試料の複素比誘電率を計測できる。これを用いることにより、水のような液体の試料や柔らかい生体試料に対し、精度のよい計測を行うことが可能となった。
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IEICE TRANSACTIONS on Electronics
巻: E97-C No. 5 ページ: 460-462
10.1587/transele.E97.C.460