研究課題/領域番号 |
24700464
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
山本 健一郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00434316)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 蛋白結合尿毒素 |
研究概要 |
蛋白結合尿毒素(Protein Binding Toxin, PBTx)の多くは,それ自身は小分子であるがアルブミン(Alb)などの血中タンパク質と結合することで大分子物質として存在する。そのため,通常の血液透析では除去が困難であり,透析患者や慢性腎臓病患者では血中濃度が健常人の数十倍もの高値となっているだけでなく,その種々の病態への関与も明らかとなっている。本研究では,希釈効果やpH変化などの比較的簡便な操作によりPBTxをAlbなどから高効率に分離・除去するシステムの構築を目的とする。 本年度は、システム構築に必要となるPBTxの結合-解離特性の評価を主に行った。ウシ血清アルブミン(BSA)と代表的なPBTxとして知られるインドキシル硫酸(IS)を0.9wt%塩化ナトリウム水溶液(NaCl aq.)に溶かしたものを擬似血漿とした。擬似血漿を0.9wt% NaCl aq.で1.5,2,3倍希釈したもの、塩濃度やpHの異なるNaCl 水溶液で1.5倍に希釈した際の遊離率の変化を求めることで、希釈倍率や塩濃度がPBTxの結合解離に及ぼす影響を検討した。ISの遊離率は、希釈と塩濃度の上昇により増加した。これは、希釈によりBSA-ISの平衡が解離側へ移動するためである。また、塩濃度の上昇による遊離率の上昇は、ISとBSA間の静電的な相互作用が阻害されるためである。以上より、希釈効果、塩濃度およびpH変化は、Albと可逆的に結合している一部のPBTxに対して除去効率の向上に有効であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サンプルの分析方法に関する検討が遅れたために、次年度に向けた実際の治療モードを想定した評価に関する準備が予定よりも進まなかった。しかし、特に大きな遅れではないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
やや遅れているため動物実験による検証は困難であると考える。血漿系における検証までは確実に行うことができるようペースを上げて研究に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
タンパク質の性状評価のため、初年度に購入したHPLC装置のオプションとして蛍光検出器を導入予定である。その他は試薬などの消耗品と研究報告のための旅費を見込んでいる。
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