研究課題
透明で強靭な線維組織である角膜実質の代用物を創出するため、これまで生体材料透明化法等の様々な独自技術を開発し、それらの有効性評価を試みてきた。平成25年度は透明化羊膜の生体適合性試験と前年度に開発に成功した透明化積層羊膜の詳細な物性評価と表層角膜移植における有用性評価を中心に研究を推進した。生体適合性試験として角膜実質層内への透明化羊膜の移植を行った。8週間に渡る経過観察中に移植片の混濁、血管の侵入等の異常は認められず安全であることが確認された。次に積層化による透明性の変化を定量的に評価した。未架橋の場合積層数が増すにつれて透明性が低下し、6層に達すると550nmにおける透過率が20%程度に達したのに対して、架橋した場合は6層の550nmにおける透過率が60%程度まで改善された。また力学強度は未架橋の場合4層以上になると突き刺しに対する力学特性の上積みが困難になるが、架橋した場合は少なくとも8層までは積層数を増す毎に破断強度が単調増加することを確認した。前年度に引き続き家兎に対する表層角膜移植を継続し、架橋条件や移植方法の工夫等を行い、前年度に達成できなかった上皮化が実現可能な条件を探索した。フルオレセイン試験で移植7日後に上皮化が明らかになった。さらに緑内障や網膜疾患への応用を視野に視神経挫滅モデルの網羅的解析や生理活性メカニズムの可視化を行い、透明化材料を後眼部治療に活用する際に活用し得る知見を得た。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)
PloS ONE
巻: 9 ページ: e93258-1, 11
10.1371/journal.pone.0093258
Angewandte Chemie International Edition
巻: 52 ページ: 13028-13032
10.1002/anie.201305784