研究課題
前年度までに酵素封入PICsomeの開発、およびそれらを用いた腫瘍デリバリー法とイメージング法を確立した。本年度は本システムをさらに洗練させ、がん治療用in vivoナノリアクターとしての機能評価を進めた。具体的には、β-ガラクトシダーゼを封入したPICsome (β-Gal@PICsome)をマウスの大腸がん(C26)を皮下移植したモデルマウスに尾静脈(i.v.)投与し、その後にβ-ガラクトシダーゼによって活性化される抗がん剤プロドラッグ(ドキソルビシン誘導体)を前年度までに確立した投与スケジュールに従ってi.v.投与した所、ドキソルビシン単体、および抗がん剤プロドラッグを投与した場合と比べ、顕著な抗腫瘍効果が確認された。またβ-Galの系のみならず、シトシンデアミナーゼを封入したPICsome (CD@PICsome)と、プロドラッグである5-FCを用いた組み合わせにおいても、抗腫瘍効果が得られた。CDのシステムに関しては、従来は遺伝子(特にpDNA)レベルで癌組織にデリバリーし、疾患部位で酵素を発現するといった大変複雑なシステムが必要であったが、本システムは生の酵素を直接送り届け、機能する事からも、より簡便なシステムであるといえる。このようなナノデバイスを用いた一連のEnzyme Prodrug Therapyが機能した報告例は過去になく、今後は既存のDDSと比べ、より副作用の低い新規DDSと発展する事が期待できる。
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http://www.bmw.t.u-tokyo.ac.jp