現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H24年度は、静水圧条件下(~10,000気圧)での刺激応答性高分子の調製とコアセルベートの形成評価、およびsemi-IPNコアセルベートゲルの調製を検討した。まずモノマーとしてNIPAAmとHMAAm、開始剤にethyl 2-bromoisobutylate、触媒にCuBr 、リガンドにtris(2-dimethyl-aminoethyl)amineを用いて、6,000気圧下でのATRPによる刺激応答性高分子の調製を検討した。得られたpoly(NIPAAm-co-HMAAm)の組成比は仕込み比と同程度であり、共重合体水溶液は温度変化に対して鋭敏かつ可逆的な透過率変化を示した。LCST(透過率 50 %の温度)は共重合体中のHMAAm含有量の増加に伴い高温度側にシフトした。光学顕微鏡によりLCST 以上でコアセルベート滴が観察され、時間経過に伴うコアセルベート滴同士の融合化(粒径の増大)も観察された。また同程度のHMAAm含有量(ca. 10 mol%)である分子量(Mw)が異なる3種類の共重合体(Mw=10万, 16万, 52万)の調製も可能であり、LCSTおよび同一濃度(0.5 w/v%)のLCST以上におけるコアセルベート滴の粒径は、分子量に依存せず、ほぼ同程度であった。次に静水圧条件下でのコアセルベート内部への拡散効果を期待したsemi-IPNコアセルベートゲルの調製を検討した。水溶性高分子としてpolyNVAを用いて検討した結果、明確な内部への侵入は確認できなかった。そこで架橋したコアセルベートゲル存在下、NVA、開始剤を溶解させ、静水圧条件下でNVAの重合を行った。反応後の重量変化より、コアセルベート滴内部へのpolyNVAの導入と考えられる質量増加が確認された。
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