平成26年度においては,高効率な高周波外部磁界発生装置の設計・開発と,そこから出る電磁界の人体への影響について解析・調査を行った.まずは高周波外部磁界発生装置について,外部磁界発生装置に磁性材料を利用した場合について検討を行った.磁界共鳴方式において共振器と呼ばれる部分を外部磁界発生源とし,そこに磁性材料を配置したときの外部磁界発生装置のサイズと患部の磁束密度の関係について有限要素電磁界シミュレータを利用し,患部磁束密度とコイルサイズの関係について解析を行った.患部の位置により、最適なコイルサイズが存在することを明らかにした.また,磁性材料の使用により,同起磁力・同サイズの条件では,空心よりも患部における磁束密度を向上できることを明らかにした.さらに,治療に必要な磁束密度を実現するためのコイルサイズは,空心よりも小型化することができるため,外部磁界発生源のダウンサイジングも可能になる.このことから,不必要にコイルサイズや起磁力を拡大しなくてもよくなるため,結果としてコイル端電圧を抑制することにもつながる.また,実験により,解析の妥当性も確認することができた.実験では周波数のスケールモデルとして低周波条件で行ったが,磁束密度とコイルサイズの関係は周波数に依存しないため,磁界共鳴方式のようなMHz帯にも拡張することが可能である. さらに,磁性材料を用いたときの磁束密度分布の解析を行い,患者および施術者の身体に曝露される磁束密度のレベルを把握することができた.特に,スパイラル型コイルでは,磁性材料を使用することで患部方向の反対側の磁束を低減することができたため,患者および施術者への高周波磁界の曝露を抑制するために磁性材料は有効であることを明らかにすることができた.
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