研究課題/領域番号 |
24700500
|
研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
君塚 道史 宮城大学, 食産業学部, 助教 (90553446)
|
キーワード | 凍結保存 |
研究概要 |
生体の凍結保存を成功させる為には、細胞内・外における氷結晶の生成・成長の制御が重要となる。申請者はこれらを実現すべく、凍結保護剤で浸漬処理を行った生体をシリコンオイル等に懸濁して凍結する方法(縣濁前処理法)および、この方法で得られた縣濁物または細胞が含まれた溶液を液体窒素などの冷媒中に連続滴下して凍結する方法(微小液滴凍結法)を新たな凍結手法として検討している。前年度までの成果から両手法共に利用の可能性が示唆された為、今年度は100μmオーダーのモデル生体試料として、現状凍結保存が困難なゾウリムシを選定し、凍結保護物質の浸漬方法を中心に検討を行った。結果、浸漬時は凍結保護液の濃度を緩速に上昇、凍結解凍後は緩速に降下させる新たな前・後処理方法を考案し、これにより単純な浸漬操作では困難な高濃度処理を実現する事が出来た。一方、凍結方法の検討では100μm径のステンレス射出管とこれに付随する装置を用い、種々の凍結保護水溶液に懸濁された膵島およびゾウリムシを損傷させる事無く射出、凍結する事が可能な微小液滴凍結装置を試作した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液体窒素などによりガラス化を実現する為には凍結保護物質を高濃度で使用する必要があるが、単純混合による浸漬では薬害、浸透圧等により損傷を受ける。今年度は緩速に凍結保護水溶液の濃度を上昇および降下させる新たな処理方法を検討し、この方法により、単純な浸漬操作では困難な高濃度処理を実現する事が出来た。一方、凍結装置の検討では微小液滴装置を作成する事が出来た。ここまでの成果を受けて、微小液滴凍結法および装置を請求の対象とした特許出願を完了。よって、当初計画と比べ進捗は概ね良好と言える。
|
今後の研究の推進方策 |
縣濁前処理法については本年度未着手となった保存試験を実施する。また、微小液滴法と併用した試験を行い、その有効性を見極める。一方、微小液滴凍結法については生体を損傷させる事無く射出し、微小固体を作成する事が可能となったが、解凍後に生存している個体は未だ得られていない。凍結および解凍時における液滴(微小固体)からの伝熱促進(例えば、対流装置の付加など)を主体とした検討により改善を進める。
|