研究課題/領域番号 |
24700501
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
永井 毅 東京医科大学, 医学部, 助教 (60384989)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 膀胱癌 / Ki-67 / アポトーシス / バーチャル組織マイクロアレイ / 病理診断学 / 腫瘍病理学 |
研究実績の概要 |
ヒト膀胱原発尿路上皮癌30例におけるKi-67 index(KI)とapoptosis index(AI)に関して,組織マイクロアレイ(TMA)から得られたデータと全載組織プレパラート(WMTP)から得られたデータとの間にどの程度の乖離があるかについて調べた.Ki-67染色とTerminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labeling染色のWMTPを用いて,直径1mmと0.6mmの小領域をランダムに選択してヴァーチャルTMAを作製した.いずれの標本においても最も陽性細胞が多く集まる領域で腫瘍細胞1000個以上を観察してKIとAIを測定し,Bland-Altman plot (BAP)と回帰分析,Kendall's tauで解析した.WMTPとTMAとの比較において,BAPではKI,AIいずれも2つの測定値の差は許容範囲内にほぼ収まった.しかし,KIの測定値に関して,1mm径のTMAでは18.1%の加算誤差が,0.6mm径のTMAでは22.2%の加算誤差が認められた.AIの測定値に関して,1mm径のTMAでは5.5%の加算誤差が,0.6mm径のTMAでは6.3%の加算誤差が認められた.また,AIに関して,1mm径と0.6mm径のTMAいずれにおいても比例誤差が認められた.なお,WMTPにおいても1mm径のTMAにおいてもKIとAIとの間に正の相関が認められたが,0.6mm径のTMAではこれらの相関は失われた.以上より,膀胱癌のKIとAIに関して,TMAを用いた測定データはWMTPとの比較において系統誤差を受けやすく,また,小さな標本抽出ではKIとAIの相関の喪失が生じうることが示唆された.BAPを組み合わせたヴァーチャルTMAは,系統誤差の検出に有用であり,より良いサンプリング法の探索に活用可能と考えられた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較的効率よく研究成果が得られ,いくつかの論文作成ができた.
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト膀胱癌における分析結果に関して,学会発表の後に論文投稿予定である. また,膀胱癌以外の他の臓器に関しても研究対象を広げ研究を進めていきたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
ヒト膀胱癌による分析結果に関しては平成27年度に学会発表が決定しており,学会との取り決めにより学会発表後に論文投稿を行うことになったため,未使用額が生じた.
|
次年度使用額の使用計画 |
・学会発表および論文投稿を行うに当たっての諸経費. ・膀胱癌以外の他の臓器に関して研究対象を広げた場合の諸経費.
|