研究課題/領域番号 |
24700512
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
金 大永 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (60461860)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 手術用ロボット / 膵臓 / ステープリング |
研究概要 |
研究の初年度につき、力フィードバック制御が可能な膵臓圧座装置を設計・製作した。臨床応用を考慮して圧座・ステープリングする部分は市販のステープラを装着できるように設計し、滅菌部の分離が可能な構造にした。内部では小型ロードセールを用いて膵臓の圧座とステープリングに必要な力を計測する構造となっている。完成したマニピュレータを用いて、ブタの摘出臓器を用いた数回のex vivo実験とブタを用いた2回のin vivo実験を行った。実験で得られた反力のデータを分析し、圧座やステープリングでの力を計測し、圧座速度を制御することによって膜破裂のない圧座に成功した。実験で圧座した全ての膵臓はホルマリンで固定し、標本にして組織の病理学的評価を行った。速度による組織の侵襲は圧座部位や周辺組織・膵臓の厚さによってばらつきがあったものの、低速圧座によって内部膵液の自己消化現象が観察された。現在、画像処理を用いて浸食の度合いを分析し、数値化している。 1次制作した膵臓圧座装置は剛性が足りなく、なおステープリング機構が複雑な機構であるため、反力計測値に偏差値が大きく、機構を修正する必要性があった。第2次制作では臨床応用を目的とした膵臓圧座装置を設計・制作する。現在、装置の設計を終了し、製作中である。製作中の装置は、臓器への損傷が少ない腸鉗子を先端に装着可能な形にし、主に膵臓からの反力を計測することを目的とする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画は臨床データ収得のための圧座力システムの構築であった。 計画通り、計測システムを構築し、組織の損傷を防止するための適した圧座速度・圧力条件を検討した。 ステープラー先端部での圧座圧力を直接計測するのは、手術での安全に問題を起こす可能性があるため、市販しているステープラーの把持部で術者の把持力が計測可能なシステムを構築した。 製作した試作機では、先ずファントムを用いた実験を行い、摘出臓器での実験を重ね、その性能や精度を十分確認した上で研究協力者の協力で動物実験に持ち込み、生体での動作確認や精度検討を行った。 動作確認・動物実験を問題なく終了し、臨床応用を目的とした第2次膵臓圧座装置の制作に入った。現在、設計は全て終了し、製作中である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は7月までに第2次制作を終了し、ブタを用いたin vivo実験を8月に行う予定である。また、手術が終わって切除したヒトの膵臓を用いて圧座時の反力データを取る。腸鉗子を用いた膵臓圧座装置で計測したデータと、現在開腹手術で使用しているエラストグラフィ(超音波計測)で計測したデータ、またヤング率などが計測可能な市販の計測機器で計測したデータを比較し、その有用性や精度を検討する。 平成24年度で得られた成果は、平成25年度に国内学会と海外学会に1回ずつ発表し、年度内に査読付きの雑誌に論文を発表する計画である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
消耗品として、第2次マニピュレータの製作に必要な部品・材料・ボードなどを購入する。また、2回を予定しているブタ実験に必要な経費に使用する。臨床用のマニピュレータを成業するに必要なコンピュータも購入する。 人件費として、精度の必要な部品の外注と英語論文の添削に必要な経費として使用する。 旅費として、国内学会と海外学会に1回ずつ参加・発表に使用する。
|