研究課題/領域番号 |
24700517
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
藤田 俊文 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (60431441)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 筋循環・代謝 / 筋機能 / 近赤外線分光法 / 全身振動刺激 / 脳卒中 / リハビリテーション |
研究概要 |
平成24年度は、全身振動刺激(Whole body vibration)を用いた運動介入時の筋循環・代謝機能評価および筋機能評価として筋電図学的分析も合わせて実施し検証した。対象は健常成人8名であったが、そのうち実験データの欠損がみられた3名を除く、5名(すべて女性)にて検証した。 介入方法は、WBV機器のプラットフォーム上にて、足幅を20cm開いたスクワット肢位(軽度膝関節屈曲位)保持を3分間実施し、その際に振動周波数30Hzにて実施した。評価は、筋循環・代謝機能評価として簡易型近赤外線組織酸素モニタ(PocketNIRS Duo)を使用し、右下肢の大腿部内側(内側広筋)、下腿後面(腓腹筋内側)にプローブを貼付し測定した。また筋機能評価は、表面筋電計(バイオモニター ME6000)を使用し、電極をプローブに重ならないように同様の筋腹に貼付して測定した。測定は、筋酸素モニタは常時測定、筋電図測定はWBV実施時の3分間測定した。 WBV実施中の酸素モニタの結果では、内側広筋では運動直後から60秒程度まで安静時よりもトータルヘモグロビンが若干低下し、その後運動終了3分まで上昇を続ける傾向がみられた。また腓腹筋内側では実施直後から終了後までトータルヘモグロビンが安静時よりも低い状態となる傾向がみられた。介入終了後の安静座位において筋循環は安静時よりも高い状態で5分間経過していた。加えて、筋電図学的分析では、開始直後から30秒程度までが筋活動も高く、周波数解析の結果、内側広筋・腓腹筋とも高周波成分が多く含まれており、速筋線維が優位に活動していることが示唆された。ただし、個人レベルで特異的な反応をしている印象もあり、今後さらに症例数を増やして検証することで有意な結果が得られる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、所属研究機関の改修工事により研究室・実験室の確保が困難となり、若干の内容の変更を行った。交付申請書に記載した当初の研究目的と、平成24年度に実施した結果を比較し若干の内容変更を行ったが、当初の目的である筋循環・代謝機能に関する基礎的情報を収集することはできた。しかしながら、十分な被験者の確保および実験期間の確保が困難であったことから、当初の計画通り進行していない部分もみられる。そのため、「やや遅れている」結果と判断した。 ただし、当初の研究計画から派生した内容として、筋電図学的分析を追加し、筋循環・代謝および筋機能評価を同時に測定可能かを検証し、またその結果より全身振動刺激による運動介入では、筋循環と筋活動の間である一定の傾向を示す可能性を検証することができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、継続して健常成人を対象とした基礎的データ集取を実施し、WBV実施時の筋循環・代謝機能、筋機能について検証していく。特に、筋循環・代謝機能は運動の種類や運動時間・強度などに依存する可能性があり、かつ筋繊維タイプとの関連性も高いものと考えられる。そのため、今後は運動生理学的な基礎的研究を進めていく。 加えて、健常成人による研究結果をもとに、脳卒中後遺症者を対象としてWBV介入時の筋機能・代謝機能、筋機能評価を実施していく。特に、これらの評価結果と脳卒中特有の身体機能や運動機能との関連性について横断的・縦断的(介入研究含め)に検証していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費使用計画では、大半が簡易型近赤外線組織酸素モニタの購入および消耗品の購入であった。また、研究計画が予定通り進行していれば、平成24年度中に学会発表などを計画していたが、研究環境の確保が困難となり、その点まで至らなかった。本研究では、運動生理学的なデータ収集を必要とし、実験環境をしっかりと整えた上で実施する必要があるが、平成25年度は所属研究機関の改修工事と重なっており、十分な環境を整えるのは難しいため、状況に合わせて研究内容を調整し、それに合わせて適正に研究費を執行していく。
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