全身振動刺激(WBV:whole body vibration)が筋機能に与える影響について、特に柔軟性へ与える即時効果について検証した。対象者20名について、WBV装置を用いて2条件の周波数(10Hzと20Hz)での膝伸展位立位保持5分を測定日を変えて実施した。柔軟性の評価として実施前後の腰部可動性、腰背部筋の筋硬度測定、立位体前屈を実施した。また実施前から終了後まで経時的な近赤外線分光法を用いた筋循環動態測定を実施した。 結果として、WBV施行後の立位体前屈は10Hzと20Hzの両方で有意な増大を認めた。腰椎可動性との関連では10Hz施行時に正の相関を認めたが、20Hz施行時とは相関関係が認められなかった。筋循環動態では、腰部・大腿部共に酸素化ヘモグロビンの有意な減少が認められた。総ヘモグロビンでは腰部脊柱起立筋でWBV施行中に減少を認め、ハムストリングスでは安静立位中に有意に増加したのに対して、WBV施行中では緩やかな増加傾向もしくは変化しない結果となった。これらの結果より、抗重力筋である大腿四頭筋がWBV刺激により賦活化され、立位体前屈時の膝関節伸展位での股関節屈曲が容易になったことが示唆された。つまり、動作中の拮抗筋であるハムストリングスの相反抑制が柔軟性に影響したと推測できる。最後にWBVは身体柔軟性という点で好影響を与えることが示唆され、運動療法前後のウォーミングアップやクールダウンといったコンディショニングなどに有用と考える。 なお、平成26年度分までの研究結果については、雑誌への掲載を行い情報発信を行った。
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