研究課題/領域番号 |
24700522
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
那須 久代 東京医科歯科大学, 医学部, 教室系技術職員 (90622556)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肉眼解剖学 |
研究概要 |
1.前鋸筋の神経支配について 前鋸筋の上部,中部,下部には神経支配にそれぞれ特徴があることが明らかとなった。特に,下部において肋間神経の枝が全例に分布していたことは非常に大きな特徴であった。これらの所見とこれまでの研究成果である前鋸筋の筋形態の特徴を合わせることによって,前鋸筋を漠然と1つの筋としてとらえるのではなく,前鋸筋のうち上部,中部,下部のどこの部分が障害されているのかというようにターゲットを絞って治療を組み立てることができると考えられる。また,下部において肋間神経の枝がコンスタントに分布していることから,前鋸筋が換気を助けるために他の呼吸筋と協調して働く潜在性をもっているということが推測される。今後は,この枝が運動性か感覚性かということを証明するための組織学的研究を行う必要がある。 2.前鋸筋,菱形筋,肩甲挙筋の3筋に分布する支配神経のつながりについて 前鋸筋上部と肩甲挙筋に分布する支配神経に着目して調査を行った結果,前鋸筋上部には長胸神経以外に肩甲挙筋枝から分岐する神経が分布する場合があるということが明らかとなった(10側中3側)。このような神経支配の特徴は,両筋が形態学的に非常に近い関係にあるということを表していると考えられる。この所見によって,これら2筋がどのように協調して作用しうるかを検討することができると考えられる。今後はさらに,肩甲挙筋と菱形筋に分布する支配神経の関係についても研究を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前鋸筋についての研究結果がまとまり,前鋸筋は上部,中部,下部に分けてその機能を考えていかなければならないという示唆を与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,筋の形態と神経支配の詳細を明らかにすることを目的とし,広背筋および三角筋について,その形態と神経支配を調査していく予定である。また,肩甲挙筋と菱形筋に分布する支配神経の関係についても研究を行っていく予定である。前鋸筋に分布する肋間神経の枝が運動性か感覚性かということを証明するための組織学的研究も追加したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
神経の機能を明らかにするために,肉眼解剖学だけではなく,組織学的研究も行っていく必要があるため,そのための試薬を購入する予定である。 また,次年度はヨーロッパ臨床解剖学会において研究成果を口述発表する予定であるため,外国旅費としても研究費を使用する。
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