研究課題/領域番号 |
24700525
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
間所 祥子 金沢大学, 保健学系, 助教 (60595445)
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キーワード | 糖尿病 / 廃用性筋萎縮 / 運動療法 |
研究概要 |
研究目的:糖尿病をもつ高齢者・運動困難者にも可能な効果的筋力強化運動確立のため,糖尿病ラットを用い廃用性筋萎縮モデルを作成,各種の運動を負荷し,その筋と毛細血管および血糖値に与える影響を組織化学的・生化学的に検証すること。 平成25年度実施内容 非肥満型糖尿病ラットであるGoto-Kakizakiラット(以下GKラット)とWistar系ラットに対し,尾部懸垂法を用いて廃用性筋萎縮モデルを作成し,ヒラメ筋・足底筋を対象に,筋湿重量と筋線維断面積、血糖値について比較検討した。 方法は各ラットを対照群(以下C群)と尾部懸垂群(以下S群)8匹ずつに分け,実験期間を2週間に設定した.実験開始時および終了時に,足関節可動域,体重を測定,麻酔下にて採血し,血糖値(mg/dl)を測定した.ヒラメ筋・足底筋を摘出し、組織化学的分析のため超低温フリーザーにて冷凍保存し、それぞれの筋に対し、凍結横断切片(10µm)にHE染色を実施、光学顕微鏡で検鏡を行った。染色切片の顕微鏡画像を元に、画像解析ソフトImageJを用いて,200本以上の筋線維を計測し,筋線維断面積を求めた。 結果、血糖値についてはGKラットがWistarラットよりも有意に高値を示し、尾部懸垂による影響はみられなかった。S群において、ヒラメ筋に対してはGKラットとWistarラットの筋線維断面積に有意差は認められなかったが、足底筋においてはGKラットが有意に筋線維断面積が小さかった。これらの結果より、GKラットにおいてTypeI線維が多いとされるヒラメ筋とTypeII線維が多いとされる足底筋において異なった廃用性筋萎縮傾向を示すことが考えられ、非肥満型糖尿病ラットにおいては、TypeII線維が廃用性筋萎縮の影響をうけやすいことが示唆された。この結果より、TypeII線維を意識した運動介入の必要性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来は筋線維タイプ分類を目的にATPase染色を実施する予定であったが、研究者が未熟なため切片作成に時間がかかり実施できなかった。また,毛細血管を観察するため,アルカリフォスファターゼ染色(以下AP染色)から毛細血管密度,毛細血管数・筋線維数比を算出する予定であったが、同様の理由で行うことができなった。
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今後の研究の推進方策 |
25年度に作成した、試料からさらに組織切片を作成し、ATPase染色を行い、筋線維タイプ分類を行う。また、AP染色もおこない、毛細血管についても検討する。 また、25年度同様の手順に加えて、運動負荷として尾部懸垂中に荷重をおこなう荷重群を作成し、GKラットとWistarラットについて比較検討を行う。 さらに運動介入法として、トレッドミル歩行、ストレッチなどを研究の推進度に合わせて検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗状況が当初より遅れており、旅費を使用しなかったこと、また、消耗品としてラットの購入数が予定よりやや少なく、かつ、分析項目が少なかったため試料の使用も少なかったことが理由として考えられる。 次年度以降、情報収集・発表のための学会参加で旅費の使用、また、ラット、試料などの購入に使用していく予定。
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