研究課題/領域番号 |
24700527
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上村 純一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70467322)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 作動記憶 / 運動イメージ / 事象関連電位 |
研究概要 |
まず初めに脳磁計測、脳波測定における機器の設定を整えたことで測定が可能な状態となった。 本研究で最も重要な点は、運動課題遂行時の作業記憶の関与を解明するための課題作成であった。脳磁計測、脳波測定中は実際の運動を実施することは測定上困難である。そのため、実際の運動遂行に類似した脳活動が報告されている、運動イメージ中の作業記憶の関与を検討することとした。これにより、脳磁計測、脳波測定手法においても、運動に関連した認知機能の検討が可能となった。さらに被験者には運動イメージ課題にのみ集中してもらい、その間に課題に関連の無い刺激として聴覚oddball paradigmを提示し事象関連電位(ERP)の測定を行う2重課題を設定した。これにより被験者の注意が脳反応に影響を与える、というこれまでの2重課題の問題点を解決することができた。つまり、被験者は運動イメージ課題にのみ注意を向けているため、課題に関連の無い聴覚oddball paradigmを背景刺激とすることで、運動イメージに要す情報処理と、聴覚刺激の情報処理との間の干渉、または不干渉を被験者の注意の影響を最小限に抑えて検討することが可能となった。 上記の2重課題を用いて、脳波測定を5名の被験者に実施した。結果、聴覚oddball paradigmにより導出できるERPを明瞭に記録することができた。また、運動イメージ課題に難易度を設定することにより、記録されたERPの差異を検出することができた。これにより、難易度の異なる運動イメージ実施時の認知機能に関連した脳反応の比較検討が可能となり、データを蓄積することで統計的解析が実施できる状態となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最も重要な点は、運動課題に関連した認知機能を導出するための課題を設定することにあった。この点について、研究申請期間初年度において課題を検討、作成し、実際にその課題を用いて脳波測定を実施している。また、測定データの解析の結果、本研究で目的としていた脳反応を記録できていることが確認されている。 脳磁測定、脳波測定の機器の設定も同様に完了している。 被験者の数を増やし、データの蓄積を2年目で実施することで本研究の目的は達成できると考える。よって現在までの達成度はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに本研究で用いる脳磁測定、脳波測定の測定準備は完了している。加えて最も重要であった運動課題に関連した脳反応を記録するための課題の作成も完了している。 よって、今後は各測定方法におけるデータ測定を進めていき、予定していた被験者数を超えたところで、統計的解析を行う。 また、本研究の成果について、リハビリテーション関連の雑誌に投稿する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
脳磁測定、MRI測定に要する施設使用料について、初年度で測定を実施していないため、そのための経費を支出する。また、研究発表および論文投稿費用について支出する予定である。
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