研究概要 |
前年度に実施された研究によって精選された評価項目や評価ツールを、CALMS モデルに基づく多面的モデルの概念[C=Cognitive (認知・知識面), A=Affective (感情・態度面), L=Linguistic (言語能力), M=Motor (口腔運動能力), S=Social (社会性・社交性)]に組み込み、吃音に対する知識・自己認知の程度、吃音に対する態度や感情、全般的な言語能力、口腔運動能力、社会性・社交性を総合的に評価する吃音総合アセスメントツール試案の開発を行った。特に今年度は、吃音の包括的評価ツールである日本版CALMSアセスメントツールの開発に携わり、マニュアルの日本語化を行ったほか、昨年度に引き続き、評価項目の選定やCALMSアセスメントツールの信頼性及び妥当性の検討などの作業を行った。特に我が国の文化では受け入れられにくい箇所については、項目の一部変更や日本独自のアセスメントツールの適用を試行した。試案の開発にあたっては、作成したアセスメントツールの信頼性及び妥当性を検証するためのパイロット研究を行い、その結果に基づき、最終確定版を作成する。検証にあたっては、アセスメントを実施する言語聴覚士及びことばの教室担当教員、それから吃音当事者の協力を得る予定である。パイロット研究への協力者は、言語聴覚士やことばの教室担当教員などを通じて募集したが、予想を下回る協力者数(5名)であった。よって引き続き、協力者数の募集を続け、更なるデータ収集・分析を行い、更なる評価項目の精選を行い、最終版の完成に向けた最終調整を行う必要がある。
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