研究課題/領域番号 |
24700535
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平田 和彦 広島大学, 大学病院, 理学療法士 (10423352)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 膝前十字靭帯 / 脳機能活動 / 固有感覚 |
研究概要 |
膝関節固有感覚は膝前十字靭帯(ACL)損傷後に低下すると報告されている。さらに、固有感覚機能低下により神経筋コントロール不全が起こると考えられている。固有感覚の低下の原因として、末梢の固有感覚受容器の損傷と考えられてきた。近年、ACL損傷患者の脳活動計測により損傷後に中枢神経システムの再編成が起こるとされている。このことは、固有感覚の低下が、中枢神経性システムの再編成を引き起こしている可能性を示している。さらに脳活動の変化は損傷後の運動制御パターンの変容をもたらす可能性がある。よって、本研究の目的は、ACL損傷患者の固有感覚と脳活動の変化、運動制御パターンの関連を明らかにすることで、ACL再建術後の固有感覚回復機序の解明や運動パフォーマンス向上に関する膝固有感覚の寄与を検討することである。 今年度は、健常者の脳活動計測を行った。脳活動の計測には磁気共鳴画像撮影法(fMRI)を使用し、固有感覚刺激を目的とした下肢他動運動時の脳活動計測を行った。その結果、固有感覚刺激時の健常者の脳活動は先行研究と同様な反応を認め、一次感覚野と視床に主に高信号を認めた。これにより、今回選択した固有感覚刺激条件で十分な神経活動が生じていることが明らかになった。また、固有感覚刺激による標準的な神経活動パターンが明らかとなった。これらにより今後ACL損傷患者の脳活動を測定することで、標準的な脳活動パターンと比較することが可能となり、ACL損傷やACL再建術後の固有感覚ネットワークの再構築を明らかにすることが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、健常者の脳機能活動計測を行った。測定プロトコルを決定するため予備実験を行った。課題は固有感覚刺激を目的とした下肢他動運動を30秒の3task(30秒のinterval)のblock designとした。撮像条件はTR=3sec、SL数39、FOV24cm、Thickness3mm、Matrix 128×128とし、実験を行った。しかし、課題中の頭部の動きの補正が困難で、予備実験を繰り返した。最終的には、頚部カラーでの固定、骨盤帯の固定により頭部のズレを先行研究と同等までに減少させることが可能になった。 本年度は、撮像条件の決定のため予備実験を繰り返し行ったことが、当初の研究計画より遅れた原因であるが、有効な撮影を行うためには、非常に重要な作業であったと認識している。
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今後の研究の推進方策 |
脳機能画像は、本年度に決定した撮像条件を使用し、健常者の測定を進める。また、同時に対象となるACL損傷患者の撮影も開始する。得られた脳機能画像は、Statistical Parametric Mapping toolbox version8(SPM8)を使用して、解析する。 また、パフォーマンス評価として固有感覚測定、動作解析も行い、健常者とACL損傷患者の差を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、脳機能画像解析のため、専用PCと解析ソフトの購入を行う。 さらに、被験者に対する謝礼をと協力施設への施設利用費に使用する。 必要な書籍やデータ保存に必要な雑費を請求する。 また、情報交換のため、当該研究領域への参加や得られた結果の発表を行うため旅費として使用する
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