研究課題
本研究の目的は,申請者が開発した目的志向的遅延反応訓練(以下,G-DR課題)の効果を,前頭連合野の機能障害が強く想定される統合失調症で検討することと,脳磁図を用いてG-DR課題の基礎となるワーキングメモリ課題遂行時の健常者の脳活動の解析を進めることである.目的達成のための具体的内容として最終年度では,主に学会発表,論文作成及び投稿を行った.脳磁図を用いてG-DR課題の基礎となるワーキングメモリ課題遂行時の健常者の脳活動の解析を行う研究に関しては,解析と投稿準備を進め,ワーキングメモリ課題遂行時の脳活動を脳磁図を用いて検証した論文が国際誌に受理され,掲載に至った.G-DR課題の効果を統合失調症で検討した研究に関しては,例えば,不安が強く何事にも消極的な患者に対しては,行動変容のためのきっかけになり得ること,一方,保続が多くワーキングメモリをはじめ認知機能に問題がある患者においては,ワーキングメモリの改善に寄与する可能性が示された.このように統合失調症の症状によってG-DR課題の効果に違いがある可能性が示唆された.よって,さらなる症例の蓄積が必要であると考えられた.今年度は,現段階での結果に関して,学会発表を行い,論文を作成し,投稿準備を進めた.以上より,申請者が開発したG-DR課題の効果を,統合失調症における臨床研究からの検討と,脳磁図による神経基盤の検討という両側面から実施することができた.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Cognitive Neuroscience
巻: 27 ページ: 453-463
10.1162/jocn_a_00718
老年精神医学雑誌
巻: 25 ページ: 1035-1045