研究課題/領域番号 |
24700546
|
研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
堀本 佳誉 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 教授 (40555546)
|
キーワード | 重症心身障害 / 胸郭変形 / 計測 / 非侵襲的 |
研究概要 |
「重症心身障害児者の胸郭変形を計測するためのCT画像を用いた測定法を修正・応用し、非侵襲的な測定法を開発」を行った。 CT画像を用いた胸郭変形の計測により、「脊椎棘突起と胸郭剣状突起の間を結んだ線と床面の角度」を計測することにより、胸郭変形の程度を示すことができることを確認した。この結果を基に、「脊椎棘突起と胸郭剣状突起の間を結んだ線と床面の角度」の計測を非侵襲的に行う方法(以下、非侵襲的な方法)を考案した。 1年以内に撮影された37名の重症心身障害児・者のCT画像を用いて、「脊椎棘突起と胸郭剣状突起の間を結んだ線と床面の角度」を計測した。非侵襲的な方法は、背臥位で、マルチン式人体計測器を用いて実施した。2台のプラットフォームの間に5cmの隙間を作り、被験者の胸骨剣状突起がその直上に位置するようにした。方法1として触覚計のアームの内側で胸骨剣状突起とその直下の脊椎棘突起を挟んだ。その際の触覚計の傾斜角度をデジタル角度計を用いて計測した。方法2では桿状計を用いた。上方のブレード(横尺)の先端を胸骨剣状突起、下方のブレードを直下の脊椎棘突起にあて、各々のアンソロポメーターまでの距離および上下のブレード間の距離を計測した。胸骨剣状突起および脊椎棘突起のアンソロポメーターまでの距離の差を算出した。この差と上下ブレード間の距離を用いて、「脊椎棘突起と胸郭剣状突起の間を結んだ線と床面の角度」を算出した。 CT画像から得られた角度と、方法1および方法2で得られた角度の各々の相関関係をSpearmanの順位相関係数を用いて求めた。相関係数はそれぞれ、0.71、0.59であり、両方法とも相関関係の強さはModerate to goodであった。以上の結果から両方法とも「脊椎棘突起と胸郭剣状突起の間を結んだ線と床面の角度」を非侵襲的に計測出来る方法であることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「重症心身障害児者の胸郭変形を計測するためのCT画像を用いた測定法を修正・応用し、非侵襲的な測定法の開発」を完了した。 「重症心身障害児者でも測定可能な呼吸機能の測定法を開発」のために胸郭の運動を歪みゲージを用いて測定する方法を考案したが、定量的な測定が困難であったことから、研究に若干の遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
文献調査により、横隔膜の厚さの変化が呼吸機能の指標となることが分かった。この結果を「重症心身障害児者でも測定可能な呼吸機能の測定法を開発」に応用する。 超音波画像診断装置を用いて呼吸時の横隔膜の厚さの変化と換気量の関連性について、健常者と重症心身障害児・者の関係を各々調査し、その違いを検証する。この検証により結果と、重症心身障害児・者の胸郭変形の程度との関係を調査する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
172円と少額であり、ほぼ使用計画通りであると考える。 文献複写費などに使用したいと考える。
|