研究課題/領域番号 |
24700548
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
片岡 正教 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (60611910)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 頚髄損傷 / 移乗動作 / 自動車 |
研究概要 |
本研究の目的は、自動車への移乗動作に近い環境設定下で独自の体幹運動解析法を用いた基礎研究を実施し、重度頚髄損傷者の自動車への移乗動作獲得支援プログラムの開発に結び付けることである。対象として、当初は頚髄損傷者30名、胸腰髄損傷者10名とし、三次元動作解析ソフトを用いて、特に殿部移動のみられる相での殿部・体幹の運動を中心に解析することを計画していた。 実験方法については当初の計画に沿って準備を進めている段階であり、三次元動作解析ソフトのインストール、専用カメラ(キッセイコムテック社製)を購入した。平成24年度は、動作解析用マーカーの貼付部位、カメラ位置の設定等、実験環境の設定をどうするかについて、まずは健常者をモデルとし、数回予備実験を行い、検討した。カメラからマーカーをとらえることができる環境、その中でもより自動車での移乗動作を想定した、それに近い環境設定に難渋している。 また、実際に頚髄損傷者が自動車に移乗する場面をビデオカメラで数例撮影させていただいた。当初計画していた実験環境では、四肢・体幹の重度の麻痺がある頚髄損傷者に対して、転倒のリスクが懸念される等の問題が考えられたため、より安全性の高い環境設定の必要性が考えられた。さらに、移乗動作の撮影から頚髄損傷者の場合、殿部を離床させての移動が困難な場合も多いことが再度確認されたため、その解析にも工夫が必要かと思われる。 本研究に関連した研究を、採択前から行っていたものがあり、それについては第47回日本理学療法学術大会で発表し、論文については「Spinal Cord」の第50巻、440-445頁に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予備実験の段階として、実際の頚髄損傷者の自動車への移乗動作場面を撮影当初予定していた実験環境では、頚髄損傷者の移乗動作を解析するに当たり、安全性の問題が生じる可能性が考えられた。そのため、まず健常者を対象に、カメラや貼付マーカーの位置等含め再度検討中である。 また、殿部の移動について、四肢や体幹の麻痺の影響から、大きな離床が見られないであろう頚髄損傷者の殿部の移動をどのように解析するかについても再検討の必要性が生じた。 現在それらについて再度検証中であり、当初の計画よりも現段階での達成度が低い状況である。
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今後の研究の推進方策 |
より自動車への移乗動作に近い環境設定下での動作解析を目的としているため、カメラの位置設定(マーカーをとらえる上での死角を少なくする)や、体幹の運動についてより詳細な解析が可能なマーカー設定、さらにその環境下で対象者が動作を遂行するにあたり転倒等のリスクがない設定を再度検討する必要がある。また、殿部の移動を詳細に解析できるよう、圧を感知するセンサーの設置も念頭に入れ、解析を進める。 期間的に当初予定していた対象者数のデータ採取が困難である可能性も生じているため、対象者の安全面を第一に考慮したうえで、対象者数も絞っていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を英語論文化し、関連雑誌に投稿することを計画しているため、その英文校閲費として研究費を使用する。また、事前に撮影する機会を得た頚髄損傷者の移乗動作について、これも貴重なデータではあると考えられるので、これを基に国際学会への発表についても今年度中に行いたいと考えている。そのためそれに関する旅費として研究費を使用する。 その他、研究協力者に対する謝金、資料印刷費、機材輸送費として今年度の研究費を計上する。
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