研究課題/領域番号 |
24700552
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
柳田 早織 北海道医療大学, 心理科学部, 助教 (20548581)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 急性期脳卒中例 / 嚥下障害 / 構音障害 / リハビリテーション / 舌 / 運動性 / 運動の再学習 / 舌圧 |
研究概要 |
研究目的としていた①脳卒中患者における発語・嚥下時の舌圧測定値を得ること、②自然経過例の経過追跡については、pilot study(3例)を実施することができ、これまでほとんど行われていなかった舌運動の定量的評価を実現し、再評価をすることで経過観察も可能であった。pilot studyにより、舌圧計測項目や実施順序の再考、集中的な訓練内容の立案に大いに役立った。 計画調書に列挙した実施項目の遂行状況は、以下のとおりであった。 1.症例の確保:急性期脳卒中例で、意識障害や呼吸障害、認知症がないことを選定条件とした。認知症についてMMSEのカットオフポイントを参照したが、この方法を採用すると、急性期例では一時的に見当識が低下している例もあり、十分な数の症例を確保しがたいことが分かった。選定条件の再考と研究協力施設の確保を引き続き行っていく予定である。 2.舌の筋力および運動性の測定:急性期脳卒中例では、先行研究でも報告されているとおり、麻痺側での舌圧低下がみられた。また、舌の交互運動(前後・左右)を要求すると、リズムの乱れ(メトロノームのリズムから遅れる)や目的から逸れた運動(右側を圧する場面で左側も同時に圧するなど)が確認された。これは、構音障害例では舌の力のバランスと高速運動での正確さが低下するという知見と一致する結果であり、測定項目の妥当性を確認することができた。発語課題(/ata/など)は、先行研究でも指摘のあるとおり、舌圧が小さく脳卒中例では検出できなかったため、次年度の測定項目からは除外予定である。 3.再評価:計画通り、初回評価から1カ月後に再評価を実施できた。定量的評価により改善の有無を客観的に把握することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画であった①脳卒中患者における発語・嚥下時の舌圧測定値を得ること、②自然経過例の経過追跡については、pilot studyを実施することができたが、倫理申請書の手続きや測定機器の納品、研究協力施設との日程調整に予定よりも時間を要し、目標としていた40例での測定は実現できず、3例のみの測定にとどまったため。
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今後の研究の推進方策 |
1.症例の確保 対象者の選定条件を再考し(例:急性期脳卒中例の中には、一過性の見当識障害がみられる例が存在することから、MMSEの総得点が24点以下であっても、MMSEの口頭指示の項目およびWAB失語症検査の話し言葉の理解より「はい/いいえで答える問題」で通過できた症例は、対象者とみなす など)、研究協力施設を充実させ、十分な症例数を確保できるように努める。連携施設については、新規で2施設内諾を得ており、今後詳細について調整予定である。 2.測定機器の不具合への対応 研究協力者である大阪大学小野研究室医員が測定に同席し、対応する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の直接経費は60万円を予定している。 その内訳については以下のとおりである。 1.国内旅費:①研究打ち合わせ(25万円)、②成果発表(1万円)を予定している。 2.人件費:当初の計画では、実験の被験者への謝金として6万円としていたが、昨年度の予算を繰り越し12万円とする。 3.消耗品費:舌圧センサシート、入れ歯安定剤タッチコレクト、データ記録用メディアなど、計5万円を予定している。 4.その他:論文投稿料(15万円)、通信費:2万円を予定している。
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