研究課題/領域番号 |
24700558
|
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
門馬 博 杏林大学, 保健学部, 助教 (60583680)
|
キーワード | 運動イメージ能力 / 運動誘発電位 |
研究概要 |
本研究では,先行研究にて運動イメージ能力評価法として用いられている,質問紙法(VMIQ2),メンタルクロノメトリー法(iBBT,iTUG),Hand laterality judgement test(HLTJ)について,各評価法の相互関係性を明らかにすることを目的として実験を行った.健常成人43名を対象として,各評価法による測定値を標準化(Z値変換)し,主成分分析を用いて検討した.その結果,メンタルプラクティスに重要とされる筋感覚運動イメージの評価には,VMIQ2-KI,iTUG,HLJTを組み合わせて用いることが有用であると考えられた. 次に,これらの評価法について神経生理学的検証として,経頭蓋磁気刺激装置(TMS)による運動誘発電位(MEP)を指標とした実験を行った.その結果,MEPによる評価結果はiTUGとHLJTの測定値との間に相関を認めた.一方で,質問紙法(VMIQ2)の各項目とは相関が認められなかった. しかし,身体運動について主観的評価と客観的評価はしばしば乖離することが報告されており,今回の結果は運動イメージにおいても主観的評価と客観的評価の間に乖離が生じうることを示していると考えられた.メンタルプラクティスを実施,指導する場面において,主観的評価と客観的評価が一致しているか,乖離しているかという情報は,練習を進めるうえでは重要な情報である.よって質問紙法は主観的評価として運動イメージ能力評価には重要な項目であると考えた. 以上の2つの実験から,メンタルプラクティスの治療導入基準(クライテリア)として,質問紙法(VMIQ2),メンタルクロノメトリー法(iTUG),HLJTを組み合わせて評価することが重要であると考えられた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに健常者を対象とした行動学的,神経生理学的検証を行った.研究成果については第4回日本ニューロリハビリテーション学会と第48回日本理学療法学術大会にて発表し,学術雑誌(理学療法科学:2014)へ掲載された.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は臨床研究として脳卒中患者を対象とした実験を行う予定としており,現在実験を行う施設と対象患者,実験手法に関する確認を行っている状況である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
国際学会への参加が延期となったことが主たる理由である. 学術雑誌への投稿,国際学会における報告,並びに実験に必要な機材・消耗品に充てる予定である.
|