研究課題/領域番号 |
24700569
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
西上 智彦 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (60515691)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 関節痛 / 痛み / 運動 / 理学療法 |
研究概要 |
変形性膝関節症(膝OA)は加齢に伴う骨関節疾患の中でも最も多く,膝OAへの対応は医療機関にとって大きな問題である。膝OAの治療は大部分が保存療法であり,運動療法はrandomized controlled trialにて膝OAに対して有効であることが認められている。運動療法の一つである歩行エクササイズも膝OAの痛みや歩行能力を改善することが報告されている。さらに,近年,関節炎モデル動物を用いた検討にて,トレッドミル歩行が関節軟骨障害の増加を抑制することも報告されている。しかしながら,歩行エクササイズがどのような膝OAに対して効果的であるのか,あるいは悪化させるかについては明らかではない.今回,関節炎モデル群に対して通常飼育のみ行なう群及びトレッドミルを用いた歩行エクササイズを行なう群に分け,トレッドミル歩行の痛み軽減効果について検討した。 対象は雄性SD系ラット13匹とした。関節炎モデルはモノヨード酢酸(MIA)を右膝関節内に投与することで作成した。歩行群はMIA投与2週間後から週5日を4週間,ラット用トレッドミル(室町機械)を用いて歩行エクササイズを行なった。対照群は通常に飼育した。痛み閾値をMIA投与前,投与後から6週間後まで評価した。痛み閾値の測定は小動物用鎮痛評価測定装置(LINTON社)を用いて行い,荷重率を求めた。 結果,MIA投与2週間後の右下肢の荷重率は対照群は46.7±2.0%,歩行群は45.0±2.9%,トレッドミル開始2週間後は対照群46.7±3.3%,歩行群49.7±1.6.0%,4週間後は対照群49.2±1.2,歩行群は51.2±1.8%であり,トレッドミル歩行2週間後のみ有意な差が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までに、当初予定していた関節炎モデルラットのトレッドミル歩行における痛みの変化の検討は終了した。また、関節不安定モデルラットの作成にも予備的研究で成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は関節炎モデルのトレッドミル歩行の痛みの変化を検討した。次年度では,関節不安定モデルについても同様な検討を行う。さらに,MIA投与後,前十字靭帯切離後8週間後に,脊髄後根神経節において炎症マーカーであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)や酸に反応する酸感受性イオンチャネル(ASIC3)が発現が変化するか検討し,,膝OAモデルの違いによってどのようにそれらが影響するかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫組織化学的染色のための各種抗体に350千円使用する.ラットは30匹として60千円を使用する。 学会報告(2回/年)のため、50千円を使用する。また、1年毎に成果を論文にて公表する目的で論文投稿料で計40千円を使用する。
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