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2013 年度 実施状況報告書

脳梗塞後遺症に対する脳循環・代謝改善薬(ニセルゴリン)の気分障害への効果

研究課題

研究課題/領域番号 24700576
研究機関産業医科大学

研究代表者

伊藤 英明  産業医科大学, 医学部, 助教 (30609201)

キーワードニセルゴリン / 脳卒中後うつ / アパシー / ノルエピネフリントランスポーター / セロトニントランスポーター / 細胞 / マウス
研究概要

培養細胞を用いたモノアミントランスポーター機能に対するニセルゴリンの効果の検討については,初代培養副腎髄質細胞(ウシ副腎より単離)およびSK-N-SH細胞にて,ニセルゴリンがノルエピネフリントランスポーター(NET)機能を濃度依存的に抑制することが明らかとなった.またCOS-7細胞にセロトニントランスポーター(SERT)cDNAを導入したものを用いたニセルゴリンの作用の検討では,臨床濃度では効果がなかった.SK-N-SH細胞における抑制機序の検討では,親和性(Km)は変化させずに最大取り込み能力を減少させており,また結合実験では解離定数を変化させずに最大結合能を減少させた.また細胞表面のNETをビオチンで標識してニセルゴリンを反応させると,細胞表面のビオチン化させたNETが減少していた.以上より,ニセルゴリンは濃度依存的・非競合的にNET機能を抑制し,セロトニン機能については抑制しないことが明らかとなった.
またマウスを用いたニセルゴリンの抗うつ作用の評価については,Jcl-ICR系雄性マウスにニセルゴリン腹腔内投与後に抗うつ薬の薬効評価である強制水泳テストを施行すると,無動時間の平均時間が短くなる傾向はあったものの,有意な差は認められなかった.ニセルゴリンの効能の1つとして意欲低下(アパシー)に対する改善効果が挙げられている.これに対する薬理学的作用については今まで報告がないが,抗うつ薬の標的であるNET機能を抑制することによりこの作用を発揮している可能性が考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究のベースとなる細胞実験に重点を置いて実験を進めており、おおむね終了している.平成25年度以降に予定していたマウスの実験については不十分だが,今後こちらについても順次進めていこうと考えている.

今後の研究の推進方策

細胞の実験については、ビオチン化したWestern blottingの結果が不十分なため、進めていく予定である。終了次第、順次マウスの行動実験および脳内アミン、神経栄養因子の測定も順次行う予定である.

次年度の研究費の使用計画

抗体購入を現時点では検討段階であり、今後購入予定である。また試薬を含めた必要物品も購入して実験を進める予定である.
抗体購入、物品購入、旅費等に使用する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Nicergoline, an ameliorator of cerebral circulation and metabolism, decreases the norepinephine transporter, which are known as intracellular targets of anidepressants.2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤英明
    • 学会等名
      The 23rd European Stroke conference
    • 発表場所
      フランス・ニース(Nice Acropolis Convention center)
    • 年月日
      20140506-20140509
  • [学会発表] Nicergoline decreases the function of norepinephrine transporter2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤英明
    • 学会等名
      The 43rd annual meeting of the Society for Neuroscience
    • 発表場所
      サンディエゴ(Sandiego convention center)
    • 年月日
      20131109-20131114
  • [学会発表] ニセルゴリンによるノルエピネフリントランスポーター機能抑制に対する一酸化窒素合成酵素の関与についての検討2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤英明
    • 学会等名
      第13回 日本NO学会
    • 発表場所
      沖縄(沖縄県医師会館)
    • 年月日
      20130629-20130630
  • [学会発表] 脳循環改善薬・ニセルゴリンによるノルエピネフリントランスポーター機能の抑制機序についての検討2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤英明
    • 学会等名
      第60回 日本リハビリテーション医学会
    • 発表場所
      東京(東京国際フォーラム)
    • 年月日
      20130613-20130615

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公開日: 2015-05-28  

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