研究課題/領域番号 |
24700577
|
研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
福永 道彦 有明工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (90581710)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 福祉工学 / 生体医工学 / バイオメカニクス / 膝関節力 / 膝深屈曲動作 |
研究概要 |
膝深屈曲動作中の関節力を算出するため,下肢の力学モデルの妥当性の検討と,大腿下腿接触力を考慮した計算を行った. モデルの妥当性については,Kutznerら(Journal of Biomechanics, Vol.43)の実測データ(ただし,膝深屈曲動作のデータはない)との比較によって行った.協働筋,とくに大臀筋とハムストリングスという股関節伸筋の筋力比を検討することで,妥当性のある結果を導くことができた.これらの結果は,一部がバイオメカニズム学会の講演予稿集に収録された. 大腿下腿接触力については,圧力分布センサを用いて測定し,その合力の大きさと作用点位置を求め,これを上記の下肢モデルに組み込んだ.大腿下腿接触力の値は,膝屈曲角度の関数として整理すると,Zelleら(Clinical Biomechanics, Vol.22)のデータと同じく無視できないばらつきがあり,下肢モデルに組み込めるものではなかった.しかし,膝最大屈曲角度を基準として整理しなおすことでばらつきを小さくすることができた.結果として,大腿下腿接触力は最大で体重の30%程度であり,これを組み込むことで最大で20%程度,膝関節力の算出値が低減した.これらの結果は,論文投稿準備中である. 以上のように,膝関節力を算出するための下肢モデルの妥当性が向上し,また大腿下腿接触力が膝関節力に及ぼす影響について明らかにしたことが,平成24年度の成果である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画は,下肢モデルの妥当性の検証と,実験システムの構築であった.このうち前者については,協働筋の筋力比を考慮することで大幅に妥当性が向上したものの,未だ関節運動をフィードバックするシステムにはなっていない.後者については,システムを構築し,蹲踞姿勢での大腿下腿接触力を測定するところまで進めることができた.以上のことから,研究はおおむね計画通り,順調に進展しているといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
下肢モデルの妥当性は向上したが,まだ十分とは言えない部分が残されており,例えば筋力の関節まわりのモーメントアーム長がそれにあたる.これは,各関節の角度が大きく変化する場合には,結果に強く影響することが考えられる.このことについて,関節周りのモデル解析によって求め,関節角度の関数としてモデルに取り入れることで解決する予定である.また,「様々な日常動作」を対象とすることも,計画通り行う予定である.例えば,大腿下腿接触力の測定に用いた圧力分布センサにより座った状態から膝に手をついて立ち上がるような場合,膝に手をつくことで膝関節力や下肢筋力がどのような影響を受けるかも調べる予定である.また,現状の被験者はまだ少なく,若く健康な男性ばかりであるため,幅広い被験者で実験を行ってデータを補強する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
結果発表のための経費を主体とし,被験者のための交通費や謝金,周辺機器関係,メンテナンス,その他消耗品に使用する予定である.
|