研究課題/領域番号 |
24700581
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
八重嶋 克俊 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 流動研究員 (50625910)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 超音波法 / 自動計測 / リアルタイム / Lucas-Kanade法 / 痙縮 / 脊髄損傷 / 筋形状 / 歩行 |
研究概要 |
身体動作中における痙縮の評価指標を作成することを視野に,下腿後面の超音波画像から筋束長や羽状角といった金形状パラメータをリアルタイムで計測するシステムを作成した。具体的には,超音波診断装置(Prosound2, Aloka社)からのアナログ動画像(NTSC, 30Hz)を,ビデオキャプチャ(DFG/USB2pro, The Imaging source 社)を介し,Labview(National instruments 社)における画像収録ドライバ(IMAQ-dx)に認識させ,その動画像における筋束の端点を,目視により特徴点として初期設定した。その特徴点の輝度の変化(空間微分およ時間微分)から,見かけ上の速度ベクトル(オプティカルフロー)を算出(Lucas-Knade法)し,それを基に次の動画フレームにおける点の座標を推定した(LabVIEWにおけるVision development module およびC言語ライブラリOpenCV(open source of computer vision library)における関数を利用)。このようにして求めた点の座標間の距離として,フレーム毎に筋束長を同定し,パラメータをを算出した。健常成人男性1名(年齢29歳,身長173cm,体重80kg)を対象に,座位(股関節100°,膝関節120°)にて,足関節の最大可動域での底背屈運動を実施し,同時に作成したリアルタイム計測にて筋束長および羽状角を算出し,課題後に目視により分析した手動計測値との比較を行なった。結果,手動追尾とリアルタイム計測において全体的な変化の動態は近似し,初期値からの変動の時系列変化に関する級内相関係数については,筋束長において0.71,羽状角について0.85と高値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としたシステム作成まで,計画が滞りなく進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
①筋形状観察を基にした歩行動作中における痙縮の評価指標の考案 脊髄損傷者および脳卒中患者各8名を対象に歩行動作を観察し,同時に超音波法により下腿後面の縦断動画像を取得する。前年度に作成したシステムを用い,歩行動作中の筋束長をリアルタイムで算出する。得られた筋束長のデータ(歩行10周期分)を健常歩行者の同様のデータと比較することにより,痙縮を評価するための指標(痙縮を有する患者に観察される特異的な筋収縮・伸展パターンを定量)を導出する。現在のところ筋束の軌跡の定量値および周波数特性(例えば,5Hz以上の局面の面積)を指標の候補として想定している。分析試行の選定にあたっては,同時に計測を行なうフォースプレートより床反力データ,3次元モーションキャプチャシステムにより各関節に貼付したマーカーの座標データ,および表面筋電図法により下肢筋群(前脛骨筋,ヒラメ筋,腓腹筋,大腿直筋,および大腿二頭筋)の筋活動データを利用する予定である。 ②歩行動作の評価指標と痙縮の新指標および従来の臨床的・電気生理学的指標との関連 ①において対象とした被験者に対し,足関節底屈筋に対し徒手的に他動背屈を行なうことにより,従来の臨床的指標としてModified Ashworth scaleを算出する(理学療法士の監督のもと実施)。加えて,動力計を用いた他動背屈(角度範囲:底屈10°~背屈10°,角速度:5,100,200,300°/s)を実施することにより,伸張反射の振幅値および受動トルク値を取得し,電気生理学的評価指標とする。得られたこれらの評価値と,歩行動作におけるパラメータ(歩行速度,ケイデンス,関節可動域など)との関連について,①において算出した新指標も含め相関関係が認められるか否かの観点から検証を行ない,①の指標の妥当性について評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
モーションキャプチャシステム用カメラ×3個,旅費,研究計画遂行のために必要な書籍の購入費
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