研究課題/領域番号 |
24700583
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
武田 湖太郎 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (50618733)
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キーワード | fNIRS |
研究概要 |
本研究は脳機能計測法である近赤外分光法(NIRS)の計測信号に少なからず混入する皮膚血流由来の脳活動以外の成分(アーチファクト)を除去する方法を開発することである. 平成25年度は健常成人に加え,軽度から中等度の脳卒中片麻痺患者を対象とし,片手運動時の脳機能を通常のNIRS計測により比較した.健常者の右手運動,左手運動,患者の健側手運動では運動手と対側の大脳半球に優位な脳活動がみられた.一方,麻痺手運動時の脳活動において,麻痺の回復したまたは軽度に麻痺の残った患者の場合には健常者や健側手運動時と同様の対側優位な脳活動がみられたのに対し,中等度に麻痺の残存した患者の場合には両側賦活,同側優位などの様々な異常パタンが観測された.アーチファクトが混入している状態においても,麻痺の程度と脳活動パタンの関係を得ることはでき,NIRSにより脳機能を評価することは可能であったが,他の脳機能計測法に比べると活動領域が広く見積もられ,活動部位の同定精度は比較的低くなった. 次に,通常のNIRS計測に加え,皮膚血流成分を計測するためのProbe間距離の短い計測チャンネルを追加配置し,健常者の片手運動時のNIRS計測を行った.通常のNIRS計測データに対してfMRIなどで用いられている重回帰分析を行う際に,説明変数として皮膚血流データを加える解析を行うことで,NIRS特有の皮膚血流成分を除去し得ることが示された.同様の課題をfMRIで計測した脳活動と比較し,活動部位の同定精度は向上した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時の予定では,提案手法の試行を3年目の本年度に行う予定であったが,既に健常者データにおいて開始することができているため,(1)当初の計画以上に進展している,とした.
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今後の研究の推進方策 |
健常者においてfMRIと同等の活動部位同定が可能になったため,同様の手法を用いて脳卒中患者の活動領域を正確に評価できるのかどうかを調査する.必要に応じて解析手法に修正を加えていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたソフトウェア(MATLAB)のライセンス購入について,別予算でライセンスを所持できたために,次年度使用額が生じた. 別予算で所持できていたソフトウェアのライセンスが昨年度末に切れたため,当初予定していたライセンス購入に当てる.
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