研究課題
本研究課題は、軽度認知障害 (mild cognitive impairment: MCI) を有する高齢者を対象に、運動介入が認知機能低下予防効果を有しているかを検証し、その効果に対し認知機能に強く影響を与える遺伝子APOEε4の影響を合わせて検討することを目的とした。今まで実施されてきたMCI高齢者に対する運動介入効果は、報告により統一した見解が得られていない。その原因の一つとして考えられるのが、MCI高齢者の異種性が考えられる。MCIの異種性は近年重要視され、いくつかの要因によりMCIを細分類し区別すると、ADに移行するリスクが異なるとされる。アルツハイマー病の発症リスクを大きく引きあげる遺伝子の一つにAPOEε4がある。介入効果指標として用いられる脳画像指標や神経心理学的検査はAPOEε4による影響を強く受けることが知られており、介入効果を検討する場合には、APOEε4の保有を考慮する必要がある。また、APOEε4が運動機能指標にどのような影響を与えるかについては未だよくわかっていない。そこで、APOEε4の保有がMCI高齢者に対する運動介入効果に影響を及ぼすかどうかを検討するために、ベースライン時でのAPOE phenotype検査を実施した。また、介入効果に対する交絡因子の検討として、MCIの特性を合わせて実施した。その結果、MCIでは身体活動だけでなく認知的な活動の低下を伴うことが分かった。APOEε4の保有が各運動機能指標に及ぼす影響として、歩行速度が低下する可能性が見られ、これらの結果は年齢、性別、教育歴などの各調整因子により調整を行った解析においても有意な結果が得られた。また、介入プログラムの実施は概ね計画通り進み、平成24年度後半を通して実施された。
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