わが国では急速な高齢化と高度情報化が進んでおり,携帯電話などの情報通信機器は,様々な身体的・認知的機能の低下がみられる高齢者にも対応した使いやすいインタフェース設計が必要である.本研究課題では,高齢者における情報通信機器インタフェース操作時の認知情報処理過程を主観指標(思考過程,感情状態)・行動指標(反応時間,エラー率)・生理指標(心拍,脳波・fMRI計測による脳活動)の3側面より心理生理学的に精査することにより高齢者の情報通信機器インタフェース操作に関する脳内認知情報処理メカニズムを解明し,高齢者の認知特性を考慮した新しいインタフェース開発への道筋をつけることを目的とする.加齢により低下がみられる認知機能の中で,注意機能,記憶機能,プランニング機能に着目し,インタフェースの選択肢数,ステップ数,フィードバックの有無のパラメタを可変とした携帯電話アプリケーション操作時において,いずれの処理過程において機能低下が認められるかを検討した.
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