わが国における高齢化と高度情報化に向けて,携帯電話,スマートフォン,タブレット端末,車載情報機器などの情報通信機器は,様々な身体・感覚・認知機能の低下がみられる高齢者にも対応した使いやすいインタフェース設計が必要である.本研究課題では,高齢者における情報通信機器による情報入出力時に,加齢による諸機能の低下を補償できる認知的負担が少ないインタフェースの開発のための基礎知見となる高齢者の認知情報処理メカニズムを精査することを目的とした.本研究では,携帯電話やタッチパネル式インタフェースの情報入出力を想定し,加齢により低下がみられる認知機能の中でも,視覚的注意機能,作業記憶機能,遂行機能に焦点をあてた検討を行った.インタフェースの選択肢数,ステップ数,言語的・非言語的メッセージなどのパラメタを変化させた課題を設定し,課題遂行中の主観,行動,生理測度によりいずれの情報処理過程において認知的負荷が認められるかを確認した.
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