研究課題/領域番号 |
24700594
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 星城大学 |
研究代表者 |
林 久恵 星城大学, リハビリテーション学部, 准教授 (80444404)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際研究者交流(米国) / 足底潰瘍 / 糖尿病足病変 / 潰瘍再発予防 / off loading / 足底剪断力 / 介護予防 |
研究概要 |
足底潰瘍の再発は、糖尿病末梢神経障害を有する症例や、力学的負荷が集中する部分で多くみられる。力学的負荷の制御は、潰瘍再発予防のための重要課題の1 つとして周知されているが、その目標値については合意が得られておらず、経験的な対応がなされることが多かった。これまで目標値が設定されなかった背景には、既存の測定器は高価で普及していないこと、力学的負荷量のなかでも水平方向に作用する剪断力を連続的に測定できないこと、測定器の可動性が乏しく生活場面の負荷量を測定できないこと等の問題点があった。そこで、本研究では、生活場面で足底にかかる力学的負荷量を測定できる小型の測定機を作製し、力学的負荷軽減目標値の設定を行うことを目的とした。 今年度は、圧電フィルムを用いたシート型剪断力センサ(5cm×5cm)を用いて、歩行時に足底にかかる力学的負荷量を検出し、小型のデータ蓄積装置(650mm×450mm×250mm)に保存し、測定結果をパソコンに転送する一連の行程を滞りなく行えるよう装置の改良を行った。 測定結果の再現性を確認するにあたり、健常大学生10名を対象に測定を行なった。再現性確認のための指標は、1歩行周期あたりの最大値および最小値の差(peak to peak)、1歩行周期あたりの時間-負荷量積分値(Time force integral)とした。予備研究にて、十分に検討を行い、測定条件の統制を行った結果、良好な再現性が得られることが確認できた。 小型測定器作製後、データ蓄積装置の改良を繰り返し、良好な再現性が確認できる測定条件を設定することができた。今年度実施した一連の研究は、生活場面で足底にかかる力学的負荷量の測定の基盤となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に設定した4つの研究課題のうち、3項目について所見を得ることができた。残りの1項目は、米国にて研究協力者とともに本研究の測定器で得られる測定値の妥当性を検討するという課題であった。この課題は、研究協力者および研究代表者の異動(所属施設の変更)に伴う、研究環境および日程の調整が行えなかったため実施できていないため、平成25年度に実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
測定器使用時の結果の妥当性については、ロードセルを使用した検討は完了しているが、先行研究で使用されている測定器の値と今回の測定器の値の比較を十分に行えていないため、海外研究協力者とともに検証を進める。 潰瘍形成リスクの高い症例を対象に、足底の力学的負荷量を測定した後、追跡調査を行い、対象者の潰瘍再発(形成)の有無を確認する。調査実施施設にて足潰瘍の治療を受けた全ての症例に対してスクリーニングを実施し、追跡調査対象者の適格基準を満たす症例に対して漏れなく研究参加を依頼する。複数の症例の測定が効率良く実施できるよう測定器を必要台数準備する。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外研究協力者が所属する研究施設・米国のメディカルセンターを訪問し測定を行うため、研究費を使用する。 足底の力学的負荷量と潰瘍再発に関する観察研究を効率良く行うための体制を整備し、対象者のリクルートを進める。対象者数にあわせて測定器を発注し、測定を行う。研究費は測定器、被験者謝金、測定補助者謝金に使用する。
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