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2013 年度 実施状況報告書

活動量に対応した足潰瘍再発予防方策の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24700594
研究機関星城大学

研究代表者

林 久恵  星城大学, リハビリテーション学部, 准教授 (80444404)

キーワード足底剪断力 / 潰瘍再発予防 / 国際研究者交流(米国) / off loaing / 糖尿病足病変 / 介護予防 / 再現性
研究概要

活動時に足底にかかる力学的負荷は、糖尿病に伴う末梢神経障害や、動脈硬化の進行に伴う下肢血流障害を呈する症例の足底潰瘍再形成を来す一因であることが知られている。したがって、足底にかかる力学的負荷の制御は、潰瘍再発予防のための必要条件とされているが、動作時および靴着用時の負荷量を定量的に捉える測定器が普及しておらず、負荷量の制御目標値については合意が得られていない。
足底にかかる力学的負荷量は垂直方向、水平方向(前後・左右)に分類され、この3方向に作用する負荷量は、床反力計を用いて測定することが可能である。しかし、測定条件が裸足歩行に限定されること、設置場所の確保が困難であり歩行中の負荷量を連続的に測定できないこと等の問題があり日常的には測定が行われていない。
そこで、本研究は、活動時に足底にかかる力学的負荷量を測定するため小型の測定器を作製し、力学的負荷量を定量化したうえで、軽減目標値について検討することを目的とした。
今年度は、昨年度作製した測定器の記録器の演算係数を修正した後、再度 健常大学生20名・地域在住高齢者38名を対象に再現性の検討を行った。再現性の検討は、1歩行周期あたりの最大値および最小値の差、時間-負荷量積分値を指標とし、級内相関係数を算出した。級内相関係数は、健常大学生において0.84 - 0.96(p < 0.01)、高齢者において0.91- 0.98(p < 0.01)と高値であることが確認された。
再現性を確認後、足病変を有する糖尿病症例を対象に測定を行った。活動時の負荷量は履物の条件によって変化するが、対象者の体重や足の変形によって変化の程度が異なり、一部先行研究の所見と一致しない結果が得られた。この所見について海外の共同研究者と議論を行い、足底の負荷量に影響を及ぼす要因の統制についての課題を共有し測定を継続することとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成24年度に作製した測定器の再現性が良好であることが確認された一方で、測定値の記録様式を有線から無線に変更した際に、値が約30%大きく検出されることが明らかとなった。平成25年度当初はその原因究明に多くの時間を要したが、問題は記録器の係数を修正することで、解決できた。臨床研究の開始に先駆けて再現性の検討をやり直すこととし、研究の進捗がやや遅れた。

今後の研究の推進方策

足病変を有する糖尿病症例を対象に測定を行った結果、活動時の負荷量は履物の条件によって変化すること、対象者の体重や足の変形によって変化の程度が異なることが確認できた。結果の一部は先行研究の所見と一致しなかったため、米国の研究協力者と議論を行い足底負荷量の規定因子を整理し、系統的に測定を行う計画をたてた。
調査実施施設にて足潰瘍の治療を受けた症例に対しスクリーニングを実施し、足底負荷量の規定因子を考慮したうえで、系統的に追跡調査を行う。対象者の適格基準を満たす症例に対して漏れなく研究参加依頼を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

「11.現在までの達成度」欄に記述したとおり、再現性の検討を再度おこなったため臨床研究の進行がやや遅れており、支出を予定していた測定器購入費用・被験者謝金は未使用である。
使用予定であったH25年度の研究費およびH26年度分の研究費を有効に活用するため、足底の力学的負荷量と潰瘍再発に関する観察研究の推進に向け臨床研究体制を整備し、対象者のリクルートを積極的に行う。研究費は、研究協力者が滞りなく測定を行えるよう測定器を必要台数購入し、被験者・測定補助者謝金として支出予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 裸足歩行時に糖尿病患者の足底に作用する力学的負荷量の検討―内外側成分・前後成分に着目して-2014

    • 著者名/発表者名
      佐々木陽平, 林久恵, 近藤恵理子, 小中真由美, 太田進, 中村麻有, 古橋究一, 熊田佳孝
    • 雑誌名

      日本下肢救済・足病学会誌

      巻: 6 ページ: 66-70

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 足病変の病期に応じたリハビリテーション-装具の選択と理学療法実施上の注意点-2013

    • 著者名/発表者名
      林 久恵
    • 雑誌名

      日本下肢救済・足病学会誌

      巻: 5 ページ: 163-170

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フットケアの現状 リハビリテーションを行う際のpitfallと創傷治癒過程における装具療法の役割2013

    • 著者名/発表者名
      林 久恵
    • 雑誌名

      POアカデミージャーナル

      巻: 21 ページ: 26-32

  • [雑誌論文] 慢性創傷に対する物理療法2013

    • 著者名/発表者名
      林 久恵
    • 雑誌名

      日本物理療法学会会誌

      巻: 20 ページ: 16-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 足部潰瘍に対する除圧サンダル作製後1年間の経過調査および潰瘍治癒症例と未治癒症例のサンダル作製時の特徴比較2013

    • 著者名/発表者名
      近藤恵理子, 林 久恵
    • 雑誌名

      日本フットケア学会雑誌

      巻: 11 ページ: 160-164

    • 査読あり
  • [学会発表] TMA(transmetatarsal amputation)術後の足部免荷にPTB装具を使用した一症例2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤沙夜香,近藤恵理子,渡井陽子,林 久恵
    • 学会等名
      第12回日本フットケア学会
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      20140307-20140308
  • [学会発表] 足部潰瘍に対する理学療法の可能性2013

    • 著者名/発表者名
      林 久恵
    • 学会等名
      第29回東海北陸理学療法学術大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20131107-20131108
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖尿病患者の足底に加わる積算負荷量についての検討2013

    • 著者名/発表者名
      小中真由美, 林 久恵, 佐々木陽平, 中村麻有, 伊藤 真也,近藤 恵理子,森山 善文, 古橋 究一, 熊田 佳孝
    • 学会等名
      第29回東海北陸理学療法学術大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20131107-20131108
  • [学会発表] 足部潰瘍に対し除圧サンダルを作成した透析例の治療経過と課題2013

    • 著者名/発表者名
      近藤恵理子, 林 久恵,
    • 学会等名
      第58回日本透析医学会学術集会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20130620-20130623
  • [学会発表] 外科的下肢血行再建術後の透析患者の死亡/下肢切断リスクに関する検討2013

    • 著者名/発表者名
      山崎遥人, 林 久恵, 佐々木綾菜、河村守雄, 近藤恵理子, 伊藤真也, 若井建志
    • 学会等名
      第58回日本透析医学会学術集会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20130620-20130623
  • [学会発表] 下肢の小切断部位別に見た同側下肢喪失率及び危険因子の検討2013

    • 著者名/発表者名
      佐々木綾菜、林 久恵, 山崎遥人, 河村守雄, 近藤恵理子, 伊藤真也, 若井建志
    • 学会等名
      第48回日本理学療法学術大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20130524-20130526

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公開日: 2015-05-28  

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