研究課題/領域番号 |
24700594
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研究機関 | 星城大学 |
研究代表者 |
林 久恵 星城大学, リハビリテーション学部, 准教授 (80444404)
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キーワード | 足底剪断力 / 潰瘍再発予防 / 国際研究者交流(米国) / off loaing / 糖尿病足病変 / 介護予防 / 再現性 |
研究概要 |
活動時に足底にかかる力学的負荷は、糖尿病に伴う末梢神経障害や、動脈硬化の進行に伴う下肢血流障害を呈する症例の足底潰瘍再形成を来す一因であることが知られている。したがって、足底にかかる力学的負荷の制御は、潰瘍再発予防のための必要条件とされているが、動作時および靴着用時の負荷量を定量的に捉える測定器が普及しておらず、負荷量の制御目標値については合意が得られていない。 足底にかかる力学的負荷量は垂直方向、水平方向(前後・左右)に分類され、この3方向に作用する負荷量は、床反力計を用いて測定することが可能である。しかし、測定条件が裸足歩行に限定されること、設置場所の確保が困難であり歩行中の負荷量を連続的に測定できないこと等の問題があり日常的には測定が行われていない。 そこで、本研究は、活動時に足底にかかる力学的負荷量を測定するため小型の測定器を作製し、力学的負荷量を定量化したうえで、軽減目標値について検討することを目的とした。 今年度は、昨年度作製した測定器の記録器の演算係数を修正した後、再度 健常大学生20名・地域在住高齢者38名を対象に再現性の検討を行った。再現性の検討は、1歩行周期あたりの最大値および最小値の差、時間-負荷量積分値を指標とし、級内相関係数を算出した。級内相関係数は、健常大学生において0.84 - 0.96(p < 0.01)、高齢者において0.91- 0.98(p < 0.01)と高値であることが確認された。 再現性を確認後、足病変を有する糖尿病症例を対象に測定を行った。活動時の負荷量は履物の条件によって変化するが、対象者の体重や足の変形によって変化の程度が異なり、一部先行研究の所見と一致しない結果が得られた。この所見について海外の共同研究者と議論を行い、足底の負荷量に影響を及ぼす要因の統制についての課題を共有し測定を継続することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度に作製した測定器の再現性が良好であることが確認された一方で、測定値の記録様式を有線から無線に変更した際に、値が約30%大きく検出されることが明らかとなった。平成25年度当初はその原因究明に多くの時間を要したが、問題は記録器の係数を修正することで、解決できた。臨床研究の開始に先駆けて再現性の検討をやり直すこととし、研究の進捗がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
足病変を有する糖尿病症例を対象に測定を行った結果、活動時の負荷量は履物の条件によって変化すること、対象者の体重や足の変形によって変化の程度が異なることが確認できた。結果の一部は先行研究の所見と一致しなかったため、米国の研究協力者と議論を行い足底負荷量の規定因子を整理し、系統的に測定を行う計画をたてた。 調査実施施設にて足潰瘍の治療を受けた症例に対しスクリーニングを実施し、足底負荷量の規定因子を考慮したうえで、系統的に追跡調査を行う。対象者の適格基準を満たす症例に対して漏れなく研究参加依頼を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
「11.現在までの達成度」欄に記述したとおり、再現性の検討を再度おこなったため臨床研究の進行がやや遅れており、支出を予定していた測定器購入費用・被験者謝金は未使用である。 使用予定であったH25年度の研究費およびH26年度分の研究費を有効に活用するため、足底の力学的負荷量と潰瘍再発に関する観察研究の推進に向け臨床研究体制を整備し、対象者のリクルートを積極的に行う。研究費は、研究協力者が滞りなく測定を行えるよう測定器を必要台数購入し、被験者・測定補助者謝金として支出予定である。
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