最終年度は、まず垂直方向の負荷量と水平方向の負荷量を同時に測定するセンサを用いて、歩行中の足底負荷量の測定を行った。その結果、設定条件によって垂直成分が小さく検出される傾向が見られ、垂直成分のみを検出するセンサ・水平成分のみを検出するセンサと比較し、再現性が劣ることが確認された。この点を考慮し、垂直成分と水平成分は分けて測定を行うこととした。 垂直成分のみを検出するセンサを用いた測定は、地域在住者30名を対象に治療用サンダルにプラグ式インソールを組み合わせて行った。対照条件と比較し、測定領域のプラグを除去することで25%以上の負荷量軽減が得られた対象者は全体の10%であり、昨年度報告した糖尿病症例の測定結果(プラグ除去インソール使用時の測定領域の負荷量増大)と同様の結果が全体の50%以上にみられることが明かとなった。この所見を踏まえて、糖尿病症例を対象に同インソールを使用する際の負荷軽減方策について追加検討を行った結果、歩容を変えることで測定領域の負荷量を軽減できることが確認された。以上より、足底の負荷量を軽減する目的でプラグ式インソールを使用する場合は、当該領域の負荷量を定量的に評価する必要性があることに加え、インソール加工のみでは負荷量の最適化が得られない場合には、歩容を変えることで負荷量の軽減をはかる必要があることが確認された。 水平成分のみを検出するセンサを用いた測定は、11例を対象に治療用サンダル着用下での歩行および移乗動作の2条件を設定して行った。測定領域にかかる左右方向の剪断力の最大値は両条件間に有意差は見られず、積分値は1回の移乗動作が3歩行周期分に相当することが確認された。以上より、足病変治療目的で歩行を制限する必要がある症例については、移乗動作時に伴う足底負荷量も考慮した生活指導が必要になることが示唆された。
|