研究課題/領域番号 |
24700596
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
猪平 栄一 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 講師 (70363405)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 医療・福祉 / リハビリテーション / 福祉・介護用ロボット |
研究概要 |
本年度は、健常腕と義手の両腕協調動作を力学的に模擬するリアルタイムモーションシミュレータの構築に取り組んだ。具体的には、以下の三つのサブシステムを構築した。 (a) 磁気式三次元位置計測装置を用いて、被験者の片側の肩と手首の相対位置、姿勢からその腕の関節角度を計算するシステムを構築した。 (b) シミュレーション結果、すなわち被験者の健常腕と合わせて動作する健常腕の3DCGと、健常腕の動きに合わせて動作する義手の3DCGを表示するシステムを構築した。 (c) 運動方程式を解いてロボットアームの運動をシミュレーションするプログラムを構築した。このプログラムはサブシステム(a), (b)と連携し、リアルタイムモーションシミュレーションを行う。すなわち、被験者の健常腕を動かすことにより、シミュレータ上の両腕がリアルタイムに動くシステムを構築した。健常腕の動作から義手の動作を生成する両腕協調動作生成システムを本シミュレータに接続することにより、被験者による両腕協調動作生成システムの評価が可能となる。 さらに、構築したシミュレータを検証するため、被験者の健常腕の動作と、シミュレーション結果を表示する画面を同時にビデオカメラで撮影し、シミュレータの時間遅れを計測した。その結果、時間遅れは、画面表示更新の間隔である、1/60秒であることを確認した。また、異なる被験者でも正常にシミュレーションできることを検証するため、8名の被験者による実験を行った。その結果、全ての被験者に対して、体格に合わせてシミュレータのモデルを調整することによって、被験者の健常腕の動きと、画面内の健常腕の3DCGの動きをほぼ一致させることができることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画は健常腕と義手の両腕協調動作を力学的に模擬するリアルタイムモーションシミュレータを構築することである。計画通りに構築したリアルタイムモーションシミュレータの動作は検証済みで、被験者による両腕協調動作生成システムの評価が可能な状態である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、健常腕の動作から義手の動作を生成する両腕協調動作生成システムをリアルタイムモーションシミュレータに接続し、被験者による両腕協調動作生成システムの評価を行う。具体的には、トレイで食器を運ぶ配膳作業のような両手作業をシミュレータ上で行って、作業のしやすさ、成功率、所要時間などの尺度を用いて評価する。また、前述の実験時における、両腕協調動作を自動生成する義手が使用者に及ぼす影響の解析について取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は、当初の計画通り、被験者、実験補助者に支払う謝金、研究成果発表のための学会参加費、論文投稿料、旅費に使用する予定である。 次年度使用額(B-A)は0のため該当なし。
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