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2012 年度 実施状況報告書

足圧データを用いた足部アーチの複合的評価システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24700600
研究機関東京医療保健大学

研究代表者

今泉 一哉  東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (50454179)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード介護予防 / 高齢者 / 足アーチ
研究概要

高齢者の介護予防と健康支援体制の確立が社会的に急務である.足部は重心保持・移動の作用点であり,扁平足やハイアーチなどの足部アーチの異常は下肢の疼痛や障害を誘発しすると考えられる.しかし,足部アーチの定量的な評価システムは存在しておらず,高齢者における足部アーチの実態データもほとんど存在しない.足部には足弓を形成する縦方向のアーチのほかに前足部の横アーチが外反母趾や内反小趾に影響を与えることが知られている.本研究では,高齢者の運動器としての足部に着目し,足圧分布データを用いた定量的な評価システムを開発することを目的とした.
具体的には本年度の実施状況として、①前足部の横アーチの評価パラメータの抽出、②荷重による足圧分布データの変化特性の考察、③足部の三次元形状の測定システムの試用が本課題に関するものである。これと並行して、フットケア等の短期的介入による足アーチおよび足圧分布の変化に関する検討も行った。
①については、高齢者を対象としたフィールド実験を行い、外反母趾等の状況とも合わせて、前足部の足圧分布データの分析を行った。②については、足アーチの衝撃吸収機能を評価するために、測定姿勢の変化によって、足アーチへの荷重を変化させて、そのときの足圧分布の変化を測定した。③については、足部の三次元形状の測定装置について、次年度以降のフィールドテストの準備のために、測定器具の使用方法の確認、テストなどを行った。
これらの成果については、国際学会および国内の学会で報告した他、議論の発展のために、海外の医師、医用工学の研究者などと討論を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,高齢者の運動器としての足部に着目し,足圧分布データを用いた定量的な評価システムを開発することを目的としている.研究代表者らは、前年度までの研究によって、足圧分布データを用いて縦方向の足アーチを定量的にかつ簡便に評価できるシステムを開発してきた。その中で、前足部の横アーチの状況が足圧分布に反映するため、足圧分布データによる評価の可能性が示唆された。そこで本申請の研究においては、前足部横アーチに関する評価方法を検討し、縦アーチと前足部の横アーチを含めた統合的な足アーチ評価システムの開発を目的とした。本年度の課題として、まず前足部アーチの足圧分布データによる評価を取り上げた。そのために中高年者を対象としたフィールドでの実験を行い、外反母趾等の状況と前足部の足圧分布の比較を行った。
次に、足アーチの変形による衝撃吸収機能の評価のために、荷重を変化させた場合の足圧分布データの取得と分析を行った。外反母趾の理由として、ハイヒール等によって前足部アーチに大きな荷重がかかることが原因として考えられている。そのために、荷重特性の評価は重要である。次に、足アーチの評価システムの開発に必要な、三次元形状の測定についてフィールド実験を行う前段階としての試用を行い、次年度に実際の高齢者対象のフィールド実験を行うための技術的な準備を整えた。
以上のことから、足アーチの複合的な評価システムの開発のために必要なステップは、着実に進めており、次のステップで、足部の三次元形状と、足圧分布データの比較をすることで、目標が達成できるため、本研究の進行状況はおおむね順調だと考えられる。

今後の研究の推進方策

今後の研究の方向性としては、これまでの準備に基づいて、以下のように行う。まず、①足部の三次元形状と足圧分布データの計測のためのフィールド実験を実施する。対象は、地域の運動教室等に参加する高齢者とする。②三次元データと足圧分布データの比較を行って、前足部アーチの評価パラメータを抽出する。これまでに、前足部アーチが低下し前足部が薄くなった状態(開帳足)傾向のある被験者で,前足部中央の圧力が相対的に上昇することを確認したおり,足圧分布のパラメータと三次元形状から得られる19種類のパラメータとの関連について,網羅的に解析する. ③抽出したパラメータによる評価基準の算出をする。そのために、判別分析等の統計学的手法を用いる。④縦アーチとの関連の検討をする。前足部アーチの低下によって、縦アーチへも影響する例が見られるために、解剖学的なメカニズムについても検討する。
次年度以降については、以上のような計画によって研究を推進していく予定である。本研究においては、世田谷区健康体操連盟や包括支援センターとの連携関係によって、フィールド実験を進めており、多くの中年者、高齢者の協力が得られており、また、運動やフットケア等の介入の効果に関する研究も並行して行っている。

次年度の研究費の使用計画

次年度は、中年者・高齢者を対象とした合計4回のフィールド実験を予定している。この実験では、足圧分布と足部三次元形状の測定を行う。一回の実験でおおむね20名程度の計測を行うが、その際に三次元計測装置のレンタルおよび輸送費が必要なため、一回あたり80,000円、合計320,000万円の使用を予定している。
先にも述べたような知見について、日本で行われる国際学会にて発表を行う予定であり、その参加費と交通費に100,000円の使用を予定している。
本年度の後半においては、原著論文の執筆が可能となるため、論文投稿・英文校正費用に80,000円を使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Development of an evaluation system for foot arch types in the elderly using foot pressure distribution data2012

    • 著者名/発表者名
      Imaizumi K, Iwakami Y, Yamashita K, Hiejima Y.
    • 雑誌名

      Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc. 2012

      巻: 4 ページ: 859-4862

    • DOI

      10.1109/EMBC.2012.6347082.

    • 査読あり
  • [学会発表] Effect of Exercise Intervention on Foot Arch Evaluation Using Foot Pressure Distribution Data,2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Imaizumi*, Yumi IWAKAMI, Kazuhiko Yamashita
    • 学会等名
      34th Annual International Confernece of the IEEE EMBC 2013
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      20130704-20130706
  • [学会発表] 足圧分布データを用いた足部アーチ評価システムの開発2012

    • 著者名/発表者名
      今泉一哉,岩上優美,山下和彦
    • 学会等名
      日本電気学会 医用・生体工学研究会
    • 発表場所
      東京農工大学
    • 年月日
      20121128-20121128
  • [学会発表] 足圧分布による高齢者の足部状態の評価システムの開発2012

    • 著者名/発表者名
      岩上優美,今泉一哉,山下和彦
    • 学会等名
      ITヘルスケア学会
    • 発表場所
      大阪市立大学医学部
    • 年月日
      20120524-20120525
  • [学会発表] Development of an evaluation system for foot arch type of the elderly by using foot pressure distribution data2012

    • 著者名/発表者名
      今泉一哉,岩上優美,山下和彦
    • 学会等名
      日本生体医工学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      20120510-20120512

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公開日: 2014-07-24  

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