研究課題
高齢者の介護予防と健康支援体制の確立が社会的に急務である.足部は重心保持・移動の作用点であり,扁平足やハイアーチなどの足部アーチの異常は下肢の疼痛や障害を誘発すると考えられる.足部には足弓を形成する縦方向のアーチのほかに前足部の横アーチがあり,外反母趾や内反小趾に影響を与えることが知られている.本研究では,高齢者の運動器としての足部に着目し,足圧分布データを用いた定量的な評価システムを開発することを目的とした.具体的には本年度の実施状況として,①足部の三次元形状と足圧分布データの計測のためのフィールド実験を実施した.対象は,地域の運動教室等に参加する高齢者70名および対象群としての若年成人10名とした.実験の条件として,姿勢の変化で足荷重を変化させた.足部のデータと併せてロコチェック25と,足部の障害や痛み,運動習慣に関する質問紙調査を実施した.②足部三次元データから,足部の足長,足囲,足幅,舟状骨高などを算出し,アーチ高率,外反母趾の有無との関係を分析した.現在までに,外反母趾の自覚症状のある対象者の中でも,足アーチが低い場合とそうでない場合があることを確認した.期間全体の実績として,昨年度においては,中高年者を対象としたフィールドでの実験を行い,外反母趾等の状況と前足部の足圧分布の関係について検討を行った.その結果,足部アーチが低下し前足部が薄くなった状態(開帳足)傾向のある被験者で,前足部中央の圧力が相対的に上昇することを確認した.次に,足アーチの変形による衝撃吸収機能の評価のために,荷重を変化させた場合の足圧分布データから,足アーチの変形特性を評価できる可能性が示唆された.また,短期的な運動介入によって足圧分布データが変化することを確かめた.
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IFMBE Proceedings Series (The 15th International Conference on Biomedical Engineering)
巻: 43 ページ: 789-792
10.1007/978-3-319-02913-9_203